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「先輩が助けてくれた」「すごく楽しくて」ワタガシ渡辺勇大&東野有紗が歩んだ“五輪後も息ぴったり”の日々…世界選手権準優勝でも涙の理由
posted2022/08/30 17:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
試合後の涙が、彼らの位置を物語っていた。
8月22日から28日にかけて、東京体育館でバドミントンの世界選手権が行なわれた。各種目の決勝戦が実施された最終日、混合ダブルスのコートに立ったのは、渡辺勇大/東野有紗だった。昨年の東京五輪では混合ダブルス日本初のメダルとなる銅メダルを獲得、あれから1年強、世界一を目指して大会に臨んでいた。
決勝に上がってきたもう1組は、鄭思維/黄雅瓊(中国)。東京五輪で銀メダルを獲得し、現在の世界ランキングは2位だがこの数年の大半で1位であり、最近の大会の実績からしても、世界屈指のペアだ。準決勝では東京五輪金メダルの王懿律/黄東萍に東京大会の決勝での雪辱を果たしての勝ち上がりであることも、好調であることを裏付けていた。
東野の涙が止まらなかった理由
試合が始まると、中国の2人が強打を中心に、いかんなく力を発揮する。第1ゲーム、渡辺と東野は相手の攻勢を前に懸命にしのぎ、崩そうと試みるがプレッシャーをかけるところまで行かず、13-21で奪われる。
第2ゲームは渡辺が後方から緩急を交えて組み立て、東野もネット際で積極的なプレーを見せるなどして、序盤に5-2とリード、逆転されても食らいつき、14-13と再度リードする場面も作った。それでも中国ペアの地力はさすがだった。鄭のスマッシュ、黄のネット際での好プレーが相次ぎ、16-21。渡辺/東野は銀メダルで大会を終えた。
東野は涙が止まらなかった。
「悔しい気持ちでいっぱいです」
そして、こう語っている。
「(コートの)4人の中で自分が一番劣っていると思うし、レシーブ、強打をもっと加えていかないと。自分の仕事を考えると、全然駄目だったと思います」