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「ナオヤはグレート」“井上尚弥20~23歳に敗れた男達”が味わった怪物の正体「それは知らなかった…」なぜ“KO回避”したのにガク然? 

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2023/08/01 17:02

「ナオヤはグレート」“井上尚弥20~23歳に敗れた男達”が味わった怪物の正体「それは知らなかった…」なぜ“KO回避”したのにガク然?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

圧倒的な強さを見せ続ける井上尚弥。その伝説は10年前から凄まじかった

 エルナンデスは当時世界タイトルを2度獲得し、井上との対戦前時点で32戦29勝18KO2敗1分と実績十分の相手だった。そんなエルナンデスを判定で圧倒しつつ、ラウンドが進む中で左太ももがけいれんしながらも――6ラウンド後半に痛烈な右のパンチを見舞って王者をねじ伏せたのだった。

「スピードがあり、上手にパンチを外すことができる。再戦? もしリベンジできるのであれば希望するが……」

 エルナンデスは試合後、このように語ったという。ただし取材現場にいたボクシングライターの渋谷淳氏が見た印象では、エルナンデスの表情からは“もう一度戦いたい”という覇気を感じることはなかったという。つまり、20歳の新鋭が前王者のプライドを文字通り破壊したのだった。そんな井上はクールにこう話している。

「今日はすごく楽しかった。力のある相手と殴り合っている実感。やっぱりこれがボクシングだなと思いました」

“初の世界戦判定勝利”にあった伝説

<名言3>
それは知らなかった……。
(ダビド・カルモナ/NumberWeb 2016年5月9日配信)

https://number.bunshun.jp/articles/-/825645

◇解説◇
 あまりに強すぎる井上のパンチ。常人離れした破壊力は時に自らへのダメージとなって跳ね返ってくる。前述したスティーブン・フルトン戦も本来は5月開催予定だったが、練習中の拳の負傷によって延期になり、7月開催となった。

 そんな井上は試合中に――それもタイトル防衛戦だ――拳を痛めてしまったことがある。それは2016年5月、2階級制覇を果たしたWBOスーパーフライ級タイトル戦、当時23歳の井上にとって同タイトル2度目の防衛戦だった。

 結果から言うとこの試合、井上にとって世界戦では初となる判定での勝利となった。「みなさんの期待を見事に裏切ってすみませんでした!」と、井上は試合後にKO勝ちを期待するファンに向けて謝罪した。ただ、それ以上に驚くべき出来事だったのは「右の拳に異変」、つまり痛みを覚えていたのだった。

【次ページ】 「私ほどイノウエを苦しめた選手はいない」と語ったが

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