その違和感を試合序盤に感じ、6ラウンド時点で「強く打つことはできない」状態にまでなった。それでも試合をコントロールし、チャンスがあるならKO勝利も狙っていたのだという。

「私ほどイノウエを苦しめた選手はいない」と語ったが

カルモナ戦での井上尚弥。これで拳に違和感があったとは……　©JIJI PRESS

「私はすべての力を出し尽くした。今夜の私ほどイノウエを苦しめた選手はほかにいない。私が12ラウンドにわたり、このような戦いをするとはだれも思っていなかった。だから私は試合前にあまりしゃべらないようにした。大事なのは最初の4ラウンド。ここを乗り切り、そこからは『絶対に勝てる』と信じて戦うつもりだった」

　その事実について知らなかったカルモナは、ダウンが最終ラウンドだけにとどまったこともあってこう話した。しかし報道陣から井上の異変を聞いた瞬間、カルモナの表情は瞬時に曇ったそうだ。万全でなくてもなお強し、という衝撃を与えたという意味でも怪物たる逸話である。

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