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「里見香奈-西山朋佳」リマッチ実現、“専門医と二刀流で昇級”や鎌田美礼15歳デビューも…美しく厳しい「女流順位戦」の世界
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph bySankei Shimbun
posted2023/07/27 11:00
2022年の第2期白玲戦。第3期も、白玲と挑戦者を入れ替えての「里見香奈-西山朋佳」のカードとなった
堀女流1級の最終戦の相手は、5位・5勝2敗の中村桃子女流二段(35)で、昇級候補の直接対決だった。堀が穴熊囲いの堅さを生かして猛攻すると、中村が懸命に受ける展開が続いた。堀の攻めは切れ筋になったが、中村に疑問手が出て形勢はもつれ、194手もの激闘の末に堀が勝った。
堀は今年2月に「舌ガン」に罹患したことを公表し、病気と戦いながらの対局が続いていた。鎮痛剤や医療用麻薬を服用したので、意識が朦朧としたこともあった。現在は少し話しにくいが、かなり回復したという。地元の高知市の支援者などの声が励みになったそうだ。今期白玲戦の昇級者の中で、唯一の日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属の棋士である。
降級点(成績下位者)に該当したのは、斎田晴子女流五段(56)など7人。
この降級点に3回該当すると、女流順位戦への出場資格を失う。ただ棋士生命には影響せず、所定の実績を収めれば復帰できる。
15歳の鎌田女流2級など初出場勢の成績は?
今期白玲戦には、7人の新人女流棋士が初出場した。そのうち、木村朱里女流1級(15)、梅津美琴女流2級(15)、松下舞琳女流初段(16)の3人が6勝2敗の好成績を収めたが、順位下位のために昇級に至らなかった。5勝3敗は鎌田美礼女流2級(15)など3人だった。
来期白玲戦には、元奨励会1級の今井絢女流1級(21)、久保利明九段の長女である久保翔子女流2級(17)らが初出場する。前記の女流棋士たちを含めて、若い世代の活躍に期待したい。
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