「彼女ほどサッカーに努力できる選手はいないと思いますよ。ほんとうのプライベートのことは知りませんが、僕が見る限り、この表現がいいかどうかは別にして、くそ真面目で24時間サッカーのことしか考えてないくらいなんです。試合で結果が出ないと、チャンスを逃している自分を責めるようなタイプでもある。そんな様子を見ているので一度、息抜きの時間を作ってはどうかと提案しました。でも、真面目すぎて逆にそれがうまくいかなかった。

　なので、もう息抜きの時間を作るのではなく現役でいる限りサッカーのことを考え続けようという話になりました。練習も試合も思いっきりやって、仮に内転筋が張ってきたり調子が悪くなればケアの回数を増やせば良いだけだと。結局、そう振り切ったことで集中して練習もできるし、結果も出るし、いい流れをつかみましたよね」

吉崎氏も活躍を予感「必ずゴールを決める」

　時間はかかったが、世界の舞台にたどり着いた。今、吉崎氏は何より結果を出して欲しいと期待を寄せる。

「わかりやすい結果としてゴールしてほしいと思うけど、ポジション的にはボランチなのかな？　でも、世界と戦えるフィジカルは持っているのでボディコンタクトで競り勝って、フリーキックが強みなのでアピールしてほしい。決して派手な選手じゃないけど彼女ならではの仕事をするし、ゴールを必ず決めると思っています。先発じゃなくても、結果的にチャンスがまわってくると思うので腐らず淡々と準備して結果を出して欲しいですね」

猶本の右足はセットプレーで大きな武器となる（2023年7月14日パナマ戦）©︎Yohei Osada/AFLO SPORT

　さらに、今の猶本は世間からの期待に応えるだけの選手に成長していると確信している。

「今回W杯メンバーから外れたら今後はどうなるかわからないと思っていましたけど、これでまだまだサッカーを続けるんじゃないかと思います。今の猶本さんには期待してもらっていいと思います。若い頃は見かけにフォーカスされてイライラしていたこともあると思うけれど、今は女子サッカーを盛り上げることまで考えている。だから、若い頃のように注目されたとしても、それくらいで右往左往したりすることのない強さを身につけていますから、どんどん期待していいと思いますよ」

　重ねてきた努力が、世界の舞台で実を結ぶ瞬間は間もなくだ。

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