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“未来のなでしこ”と期待されて…猶本光29歳で初W杯「梢ねえさんに追いつけ、追い越せでがんばってきた」不遇時代も知るトレーナーが語った涙の真相
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2023/07/21 11:00
キャリアで初めてのW杯に臨む猶本光(29歳)。最年長の熊谷紗希(32歳)と共に若手が多いなでしこを牽引する
涙の記者会見を吉崎氏はニュースで知ったそうだ。
「代表に思い入れがあったのは知っていたので、まあ泣くこともあるだろうなと思っていました。決して『W杯に出たい、出たい』と人前で大声でいうタイプではないけれど、やっぱり、怪我も多くて大舞台を逃してきていますから。あとは、自分も安藤さんと同じ舞台に立ちたいという思いは強かったはずです」
猶本は以前から「W杯、五輪での活躍を目標にしているが、すでにそれを叶えた存在である梢さんの全てを真似してみた」と公言しているほど安藤を慕って、一時期は食事のメニューなども模倣したと明かしていたこともあるほどだ。
「すぐ隣に安藤梢という見本がいて猶本さんの横で模範を示しているというのは彼女の成長には大きいでしょうね。師匠である安藤さんが筑波大学の助教と選手の二足のわらじを履いているのだから、それを追う立場の自分はより頑張らないわけに行かない。本当に梢ねえさんに追いつけ、追い越せでがんばってきたから」
その安藤が12年前に活躍し優勝したW杯という舞台に、猶本はようやくたどり着いた。
安藤をも凌駕するサッカーへの探究心
吉崎氏が猶本を見始めた当初、安藤と猶本のフィットネス、運動能力の差は歴然としていた。だが、今の猶本は遜色のないところまでレベルをあげたという。
「努力で近づいているんですよね。個人トレーニングも増やしているそうですし、サッカーを考えるとか、映像を研究するとかでこの2、3年で本当に向上しているんですよ。サッカーを研究する熱でいったら安藤さんより猶本さんのほうがすごいかもしれない」
この努力こそ猶本の強みだと吉崎氏は感じている。