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“未来のなでしこ”と期待されて…猶本光29歳で初W杯「梢ねえさんに追いつけ、追い越せでがんばってきた」不遇時代も知るトレーナーが語った涙の真相
posted2023/07/21 11:00
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
23人中、実に14人が初めてW杯メンバー入りという池田太監督率いる「なでしこジャパン」。フレッシュな若手が揃う中、猶本光が初めてW杯メンバーに選出された。
猶本は2010年のU-17W杯で準優勝に貢献、2012年に日本で行われたU-20W杯ではその力強いプレーぶりとルックスで注目を浴びた。だがその後は、所属の浦和レッズで活躍しても、なぜか五輪やW杯とは縁遠かった。
2018年からはドイツ・フライブルクでプレー。東京五輪出場を目指し、2020年からは浦和レッズに復帰したもののメンバー入りは叶わなかった。つまり、今回のW杯メンバー入りは“遅咲き”でもなければ、“復活”とも言うのも少し違う。29歳にしてようやくたどり着いたW杯。メンバー発表を受けて行われた記者会見では壇上で大粒の涙を見せた。
内田篤人や川島永嗣が信頼したトレーナー
今回、猶本がドイツ時代から個人契約し信頼を寄せるトレーナーの吉崎正嗣氏に話を聞いた。吉崎氏は川島永嗣ら多くの男子選手のケアを行ってきた人物で、女子サッカーでも、内田篤人さんからの紹介で今季WEリーグMVPの安藤梢(41歳)を長年にわたって担当している。その安藤から「光のケアも」と依頼されたことで、猶本を担当することになったそうだ。
吉崎さんと猶本の出会いは2018年。当時の猶本はフライブルクに移籍したばかりで、出場機会も思ったようには得られず難しい時期だった。なかなかうまくいかない理由はあった。
「当時は左臀部の奥に常に痛みがあって、その改善から始めた感じですね。本人的にはハムストリングが気になって練習でも試合でも100パーセントの力を出せていなかった。2019年末に日本に帰ってくるまでその痛みはずっとあったんですよね。浦和に復帰してパフォーマンスが上がったのはその痛みがなくなったから。実は僕がケアを担当するようになってからは負傷がないんです。その信頼もあってか負傷を怖がらずにプレーできるようになっていると思いますね」
痛みがなくなったことで徐々にパフォーマンスが向上し、2022/23シーズンWEリーグでの活躍とW杯メンバー入りに繋がったと見ている。