他の人には理解できない関係性

「試合が終わって会場を見渡して思ったんです。もっと大きな場所で、もっと注目される中で、もっと輝きたいって。それに今回は勝ったけど、なつみの輝きを見ると完全に上回ったとは思えなかった。赤コーナーはなつみ、大会の最後に入場してきたのがなつみじゃないですか。さらに輝きたいし、安納サオリというブランドを高めたい。その気持ちは変わらないです」

　戦前は試合の日が7月2日であることすら気にしていた。「7.2、なつ（み）の日ですよね」と。

「なつみに関してはなんでも気になって。私、なつみに対してだけはちっちゃいヤツなんです（苦笑）」

最後はユニット「コズミック・エンジェルズ」のメンバーで大会を締めた　©Essei Hara

　自分たちの関係はこれからも変わらない、となつぽいも言う。

「私にとってのサオリも、サオリにとっての私も変わらないと思います。今まで以上になるかも。家族みたいな存在なんだけど、絶対に負けたくないんですよ。他の人には理解できない関係性かもしれないですけど」

なつぽいと安納サオリの“結びつき”

　8月13日、大阪でのビッグマッチでは安納となつぽいが組んでタッグ王座に挑戦する。それが闘った上での答えだった。組むだけではなく闘うことが必要だし、闘うだけでなく組むことも重要なのが安納サオリとなつぽいだ。

「私となつみはずっと背中合わせ。それは背中を預けられるということでもあるんです」（安納）

試合後、両選手にインタビュー。革紐の「つながり」は外さないままだった　©Norihiro Hashimoto

　インディアン・ストラップマッチのリング上、安納はリングシューズの下に左右違う靴下を履いていた。一つはなつぽいから誕生日プレゼントにもらったもの。もう片方は安納がなつぽいにプレゼントしたものとお揃い。

　両足に思い出の品を隠して、革紐で首を絞め合い、叩き合ったのだ。なつぽいが言うように、普通の感覚では理解し難い関係がそこにある。理解し難いほどに強い結びつきが。

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