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C・ロナウド38歳の年俸「305億円」、メッシにフラれたが「611億円」オファー説…サウジ勢の“クレイジー爆買い連発”ウラ事情
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byWill Palmer/Allstar,Getty Images
posted2023/07/14 17:00
クリスティアーノ・ロナウド。フットボール界の頂点にいた彼が、なぜサウジアラビアに?
多くの今日的なトップレベルの指導者と同様に、攻守に激しい動きを求めるオランダ人指揮官は、年を重ねて仕事量の落ちたCR7を先発から外し、時にベンチを温めさせたまま試合を終えた。高いプライドを傷つけられたロナウドは、カタールW杯直前に旧知のジャーナリストとのインタビューでユナイテッドを批判し、クラブと双方合意のもとで契約を解消。プレミアリーグのシーズン前半戦で10試合1得点しか記録できなかった彼は、W杯でも決勝トーナメントからスタメンを外され、ベスト8までの5試合で1得点を挙げただけで、5度目のW杯を終えている。
つまり、どれだけ本人がトップ中のトップレベルを維持していると自負していたとしても、実際はもうその域の選手ではなくなっていたわけだ。特に現代的な手法を掲げるチームに、CR7の居場所はない。欧州のトップシーンからの退場を余儀なくされたのである。
メッシに対しては「年俸611億円オファー」報道
それでも知名度は今も群を抜く。インスタグラムのフォロワー数は、フットボーラーとして最多の約5.9億人。その影響力は計り知れない。
おそらくサウジアラビアは、それを最大の利点と考えたのではないか。盛りを過ぎた30代後半の選手ながら、地球上にその名を知らない人の方が少なく、主に欧州のメディアが疑う“スポーツウォッシング”(国家や個人の不都合な事実をスポーツの力で洗浄しようとする行為。独裁国家サウジアラビアは人権侵害を非難されている)には、打ってつけの広告塔になりうると。だから公共のファンドが買収する形となった4クラブのひとつ、アル・ナスルが天文学的な報酬を提示して、ロナウドを釣り上げたのだろう。
またリオネル・メッシが推定年俸611億円とも報じられたアル・ヒラルからのオファーを蹴って、アメリカのインテル・マイアミに移籍したことにより、アスリートのサラリーの史上最高額は更新されなかった。
ベンゼマ、カンテどころか20代の有望株まで
アルナスルで半シーズンを戦ったロナウドの1年目は、サウジ・プロリーグで2位に入りながらも無冠で終了。リーグ戦の個人成績は16試合14得点だった。
「ここにはすごく良いチームがいくつもあり、とても良いアラブ系の選手もいるが、インフラや審判、VARシステムなど、改善すべきところもある」とロナウドはリーグ公式インタビューで語った。