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C・ロナウド38歳の年俸「305億円」、メッシにフラれたが「611億円」オファー説…サウジ勢の“クレイジー爆買い連発”ウラ事情
posted2023/07/14 17:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Will Palmer/Allstar,Getty Images
クリスティアーノ・ロナウド──キャピタリズムが支配するモダンフットボールの象徴的な存在だ。
2020年にチームスポーツの現役選手として史上初めて、キャリアにおける収入が10億ドルを超えた。その時点ですでに親戚一同、何世代にもわたって養えるほどの資産を持っていたわけだが、今年1月にサウジアラビアのアルナスルと推定年俸2億2000万ドルの契約を締結した。
本稿執筆時点の換算レートで、約305億円。月給にして、約25億4000万円だ。英国の報道で使用されることの多い週給にするなら、約6億円。どちらにしても、実感の湧かない数字だ。
世界で最も給料の高いアスリートが38歳のフットボーラーだという、いびつな現状はいかにして導かれたのか。
CR7が成し遂げた偉業は見事だ。しかし…
むろん、CR7がこれまでに成し遂げてきた偉業は、実に見事なものだ。ポルトガルはマデイラ島の貧しい地域に生まれ、育成の名門スポルティングで鍛えられ、マンチェスター・ユナイテッドとレアル・マドリーで一時代を築き、ポルトガル代表ではEURO2016を制し、母国に初のメジャータイトルをもたらした。2017年までにバロンドールを5度受賞し、2017-18シーズンまでにチャンピオンズリーグを5度制している。
振り返れば、おそらくピークはそこにあった。
マドリーで5回目の欧州制覇を遂げた直後にユベントスへ移籍したが、イタリアで獲得したタイトルは国内のものに限られた。そして2021年夏に、悩める古巣ユナイテッドへ復帰するも、30代後半のストライカーに対する評価は二分した。1年目こそ、全公式戦38試合24得点と堂々たる数字を残したが、チームはプレミアリーグで6位、チャンピオンズリーグでは16強に終わっている。
加入前には、レジェンドと共に練習するだけでも、若手が多くを吸収して成長するだろうと予想されたが、実際はあまりに巨大な存在感に、逆に萎縮してしまうチームメイトも少なからずいたという。そして翌2022-23シーズンにエリック・テン・ハフ監督が就任すると、ロナウドの立場は絶対的なものではなくなった。