「いくつかのプログラムがあるんですが、例として〈パールラウンジ〉という一番高いレベルのホスピタリティをご説明しましょう」

　写真を見せてもらうと、見るからにフカフカのソファなど高級ホテルのラウンジのような室内、ロブスターなどの食材がダイナミックに、ご馳走がズラリと並ぶビュッフェ。写真を1枚1枚見ていくだけで、めくるめくセレブの世界である。俗っぽいのは承知で聞きたいんですけど……ここのシートの金額、どれくらいなんですか？

「準決勝の1試合と、決勝のパッケージで計2試合が見られます。当時の換算レートで言えば1人、約500万円です」

　……言葉を失う。そんな高額チケットはすぐに売れた（望月さんいわく「日本のお客様も買っていただいています」）らしいし、もっと言えばプライベートジェットに乗って勇躍カタールへと乗り込んでいった人もいるとか。それだけ特別な空間の中でサッカーを楽しめれば、満足感は高いのだろう。

「そうなんです。現代ではスポーツイベントも〈特別感〉を持って観戦したいという需要が増えています。カタールW杯では大会直前、ビールなどのスタジアム内での販売が禁止になったニュースを覚えている方も多いのではないでしょうか。ただこのホスピタリティのゾーンではお酒の提供がOKだったんです」

昨年は最高価格＜3000万円チケット＞が話題に

　特別感、というワードで想像したのは、各航空会社が空港・機内に設けているラウンジやファーストクラスだ。入場ゲートはキックオフ3時間前にオープンして、一般入場口とはセパレートされているため快適に入れる。試合開始まで食事を楽しみ（当然ジュースなどを買うために列に並ぶ必要なし）、前半を堪能してハーフタイムに歓談しながらちょっと一杯。試合終了後には1時間ほどその場を再び楽しんで“時差帰宅”する……という感じで、観戦時にありがちな“ちょっとしたストレス”とは無縁の世界なのだという。望月さんは購買層について、このようにも語る。

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