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今年もやります! PSGジャパンツアーの全貌…100万超の高額チケット「ホスピタリティプログラム」はなぜ飛ぶように売れるのか?
posted2023/07/20 10:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Takuya Sugiyama
「100万円席」で観戦する幸運
うん、別世界だこりゃ。
1年前、パリ・サンジェルマン(PSG)のジャパンツアーで「VIP ENTRANCE」と記された入り口に立った瞬間、こう感じたのを思い出す。国立競技場で開催されたPSG対川崎フロンターレにて、なぜか最大14人が入れる「100万円席」で観戦する僥倖に恵まれた。
エントランスに敷かれた赤じゅうたんに導かれるまま、取材と称して観戦。そして会場内を歩いてみると、超快適なボックスシート観戦、高級そうなシャンパンなどのフリードリンク、とても美味しいお弁当、通路での弦楽四重奏の生演奏……と、ただただビックリした記憶が蘇る。
そんなホスピタリティプログラムが、2年連続で開催されるPSGジャパンツアーでも販売されている。8月1日、国立競技場で開催されるPSGvsインテルの「PRIVATEホスピタリティルーム」の350万円チケット(すでに完売!)を筆頭に、いつものスポーツ観戦とは“ゼロが1ケタ、いや2ケタ違う”カテゴリーが並ぶ。またあの稀有な経験をできる人々がいるんだな……と思いを馳せながらも〈スポーツの現場で取材してるのに、そもそもホスピタリティプログラムの歴史、日本での浸透度合いについて、実はそんなに知らないかも〉と自分の不勉強さに気づいた。
そう思っていたところ、今回のPSGツアーで販売を担当する「ジャパン・スポーツ・ホスピタリティ株式会社(以下JSH)」の望月傑代表に話を聞く機会を得た。JSH社はカタールW杯で公式ホスピタリティプログラムの公式販売代理店として指名されるなど、様々な知見を得ている企業だ。その束ね役である望月さんに「基礎知識」を聞いてみよう。そもそも、世界と日本におけるスポーツのホスピタリティプログラムってどんな歴史があるんですか?
「ホスピタリティの席はもともと、オリンピックやW杯など大きな国際大会で、スポンサー向けの“ホスピタリティビレッジ”というものがありました。そこでお食事を召し上がっていただいてからスポーツ競技を観に行くという仕組みが完成しました。いわばスポンサーの特権だったものを、一般に対して販売を始めたんです」
カタールW杯で一番高かったホスピタリティとは?
望月さんが携わり始めたのは、2002年の日韓W杯から。そこからの20年間で日本代表は計4度の決勝トーナメント進出、さらにカタールW杯では優勝経験国であるドイツとスペインに勝利するなど、世界のサッカーファンに鮮烈な印象を残してきたが……ホスピタリティプログラムについても世界的に見て「着実に認知度が高まってきていますね」とのことだ。
ちなみに直近のカタールW杯は、どんな豪華な席だったのだろう。