今の日本代表は、サーブレシーブやチャンスボールだけでなく、相手の強打のスパイクやブロックで止められた後の切り返しなど、万全とは言えない状況でも確実に得点に結びつけている。それはセッターの関田が誰よりも素早くボールの下に移動し、より打ちやすい高さ、タイミングでアタッカー陣にトスを供給しているからに他ならない。

　どんなボールでも攻撃につなげるべくどれだけコートを走り回ってきたかのは、鍛え上げられた“ふくらはぎの筋肉”を見れば一目瞭然だ。まるでサッカー選手のようと称すれば「ボロボロっすよ」と笑うが、その豊富な運動量とセッターとしての確かな技術は、今や日本代表に欠かせないものになった。

確かな技術だけでなく、フィジカルも充実する関田（右）　©︎FIVB

　そして何より輝きを放つのが、「なぜ今、この攻撃を選んだのか」という確固たる理由と築き上げてきたセオリーである。小野寺が続ける。

「関田さんの“遊び心”じゃないですけど、そこ来るか、というトスですよね。関田さんって『使わなきゃ』と思ってクイックを使うわけじゃなく、いろんな選択肢がある中で『使える』と判断したから『使う』。（石川）祐希や（高橋）藍にマークが集中する中、いいところでミドルを使ってくれるので、本数は少ないかもしれないですけど相手の印象にも残る。何より、みんなが気持ちよく打たせてもらっています」

「いいスパイカーがいても、いいセッターがいなければ」

　そんな関田を誰より評価するのが、日本代表を率いるフィリップ・ブラン監督だ。ネーションズリーグ初戦でイランにストレート勝ちを収めた後、攻撃の評価を問われたブラン監督はアタッカーではなく関田を褒め称えた。

フィリップ・ブラン監督　©︎FIVB

「サイドアウトだけでなくトランジションでもさまざまな攻撃が使えたのは、今シーズンに限らず、日本代表に関田選手を招集した時から取り組んできたことです。いくらいいスパイカーがいても、いいトスを上げるセッターがいなければうまくいかない。関田は非常によい攻撃を引き出せるセッターです」

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