「春ということで桜吹雪を使って“どのようにやる？”と激論した結果、桜を使ってかるたを取るような動きをして、桜の花びらが舞うような構図でテストしてみました。ただ実際にテスト撮影をやってみると、体勢がけっこうきつい。その人の柔軟性もありますし、時間も含めて棋士の先生に負担をかけてしまうのは……という反省もあって今回は見送りになりました。ただこういったアイデアを考えるのは芸能など他の分野の撮影にも今後生きるかもしれません。そういった意味でも王将戦の撮影は本当に貴重な機会ですね」

（左から）吉田さん、河野さん、藤山さん　©Tadashi Hosoda

　今期の王将戦を制したのは藤井だったが、これほどまで世間が注目したのは挑戦者の羽生が第4局終了時点で2勝2敗のタイにするなど、藤井との真っ向勝負で互角に渡り合ったのが間違いなく大きな要因だろう。

　そんな羽生は、歴代2位となる通算12期で永世王将の資格を有している。まさに誰よりも「勝者の記念撮影」を経験してきた人物である。その撮影でネット上が（いい意味で）大騒ぎになる出来事があった。そう、羽生が2勝目を挙げた第4局翌日の「ベッドで寝起きウサ耳ポーズ」である。これには藤山さんのアイデアがあったという。

＜#3につづく＞