ボクシングやUFCでも体重超過が頻発

　奇しくも、同日に東京で行われたWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチの前日計量でも、井岡一翔の挑戦を受ける王者・ジョシュア・フランコが3.1kgオーバーという異例の事態に。軽量級でこれだけの体重オーバーは珍しい。再計量でもフランコは200gしか落ちておらず、王座を剥奪された。結局、試合は井岡が勝った場合のみ王座を認定する形で強行され、井岡に判定で敗れたフランコは引退を表明した。ボクシングの信用を失墜させる事件だった。

　海の向こうでは、米国のUFCで3連勝中の23歳・平良達郎の対戦相手であるクレイドソン・ホドリゲスが3ポンド（約1.36kg）も体重をオーバーしたため、試合は不成立になってしまった。同じMMAというカテゴリーでも、一方が大幅な体重超過をしたときの対処方法は時と場合によって異なる。平良の場合、モヤモヤが残ることを覚悟のうえで、ホドリゲスの体重超過を受け入れなかったということだ。

　日本でも契約体重を守った方が試合を拒否するケースもあるが、その一方で超過した選手に減点、減給、グローブのオンスなどでハンディを与え、試合をなんとか成立させようとする傾向が強い。

　それにしても、なぜクレベルは王者としてやってはいけない失態を犯してしまったのか。「挑戦者を舐めていた」という声もあるが、それはどうだろうか。フランコのようにキロ単位でオーバーしているわけではないし、最後はボンサイ柔術の仲間とともに現地のサウナにこもり、励まされながら必死に体重を落とそうとしていたと聞く。

挑戦者の鈴木千裕に深々と頭を下げるクレベル・コイケ　©RIZIN FF

　ただ、計量前日の6月22日の時点で、リミットまで4kgも落とさなければならない状況だった。23日の14時までに3.6kg絞ったが、それ以上は落ちなかった。鈴木戦後、クレベルは今回の減量失敗について、“自己流”の調整が理由ではなかったことを強調した。

「自分には栄養士もドクターもついており、きちんと減量プランを立てながら調整しています。言い訳ではないけれど、どこかで間違えた。自分は神様がそうしたと思っています」

　さらにクレベルは、今回がキャリアで2回目の減量失敗であることを打ち明けた。

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