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「400g体重超過」でRIZIN王座剥奪…クレベル・コイケの減量失敗はなぜ起きた?「足の毛も剃って、髪も切ってやろうと思ったけど…」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2023/07/01 17:00

「400g体重超過」でRIZIN王座剥奪…クレベル・コイケの減量失敗はなぜ起きた?「足の毛も剃って、髪も切ってやろうと思ったけど…」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

6月24日、『RIZIN.43』の鈴木千裕戦後にリング上で跪くクレベル・コイケ。体重超過による王座剥奪に何を思っていたのだろうか

「自分は39回MMAの試合をした中で、(今回も含め)2回だけ計量失敗しています。1回目はいろいろ問題を抱えていた。今回はプラン通りに、木曜に2kg、金曜(計量当日の23日)に2kg落とすはずだった。でも、8時から14時までの間に1.6kgしか落とせなかった」

 初めての失敗はポーランドのMMAプロモーションである「KSW」を主戦場にしていた2017年12月23日に起こった。当時クレベルはKSW認定のフェザー級王者でタイトルマッチを行う予定だったが、現地入りするとホテルに用意されているはずのバスタブがなく、計量に失敗してしまったというのだ。

 結局、今回と同様に王座を剥奪されたうえでノンタイトル戦を行い、かつて辛酸を舐めさせられた対戦相手にリアネイキッドチョークで一本勝ちを収めている。

試合直前まで落ち込んでいたクレベルだったが…

 今回、控室やその周辺でクレベルの様子を見ていた関係者によると、試合直前まで落ち込んでいたという。そのぶん鈴木が戴冠する確率も高くなるのでは……と思われたが、クレベルは1ラウンド早々にグラウンドに引きずり込むと、最後は腕ひしぎ十字固めでタップを奪った。「過度な減量でスタミナはない」「精神的に落ち込んでいるから付け入るスキはあるはず」といった外野の声を一蹴する、卓越したグラップラーらしい試合運びだった。

 もうひとつの闘いともいえる減量で、クレベルは自分に敗れた。しかし、タイトルを失い、勝っても無効試合になるというモチベーションを上げづらい状況の中でも、鈴木との実力の差を見せつけた。クレベルは「昨日は本当に難しく厳しい日でしたが、今日は違う日」と割り切る強さを持ち合わせていた。

「全ての皆さんに、いい日もあれば悪い日もある。それでも必ず良くなると信じてほしい。今回、聖書を読みました。『夜はよもすがら泣きかなしんでも、朝とともに喜びが来る』(旧約聖書:詩篇第30章)という一節がありました。諦めずに信じることが大事だと思いました」

【次ページ】 「足の毛も剃って、髪も切ってやろうと思ったけど…」

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