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W杯直前にケガしても「写真、撮ります?」記者やファンを魅了…日本代表DF“板倉滉ほっこり伝説”「本人から“お疲れ様したッ!”と」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/07/02 06:00

W杯直前にケガしても「写真、撮ります?」記者やファンを魅了…日本代表DF“板倉滉ほっこり伝説”「本人から“お疲れ様したッ!”と」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

押しも押されもせぬ日本代表のDFリーダーとなった板倉滉。とにかく“ほっこり伝説”の多いフットボーラーでもある

「写真、撮ります?」

 同時期には、ほっこりするエピソードが他にもあった。ドイツのデュッセルドルフで日本代表戦が行われたときのこと。板倉は当時、絶対王者バイエルン相手に伍するなど圧巻のパフォーマンスを見せていた。そんな状況でのケガだったため、日本代表の試合をスタンドから眺めるしかない胸中は穏やかではなかったはずだ。

 ただ、そんなことは知らずに、板倉の元へかけつけた子どもがいた。大人であればためらうようなシチュエーションかもしれない。それでも板倉は、満面の笑みを浮かべてサインや写真撮影をしてあげていた。この時期、板倉の“聖人ぶり”はSNSでも話題になった。

「必死で取材してくれているんだぞー!」

 そういえば、カタールW杯のドイツ戦後の取材エリアでもこんなことがあった。

 筆者の撮影用iPadを固定する三脚のねじが壊れてしまった。そのためマイクを左手で持ち、iPadを右手と右腕で支えながら撮影することになった。それを見た186cmの板倉は、少しかがんでインタビューに答えてくれた。他の選手からは異様な姿に映ったようで「それ、どういう状態?」と冷やかす声が飛んだ。

 すると、笑みを浮かべながら板倉が口を開いた。

「おい、そんなこと言うなよ(笑)。必死で取材してくれているんだぞー!」

 その種の板倉伝説には枚挙にいとまがないし、今回の「Team Cam」も板倉伝説史に新たな1ページを加えたのかもしれない。

 ただ、どうして板倉には心温まるエピソードや言動が多いのか。その理由は気になる。

 そこで6月の代表活動が全て終わったペルー戦直後に板倉に尋ねてみることにした。

「どうして、練習場についたときにドライバーへきちんとお礼を伝えたのでしょうか? 仮に言わなかったとしても、咎められるような状況ではないはずですが……」

 板倉の中ではごく普通の行動だったようで、こんな答えが返ってきた。

「いや、普通にお礼、言うでしょう(笑)。わざわざ送ってもらっているんだから」

良い親に育てられたおかげで、ということに(笑)

 YouTubeのコメント欄でもそのシーンが話題になっていたことを伝えると、少し考えてからこう答えた。

「うーん、意識的にやっているわけでもないし。理由を聞かれても、答えるのが難しいですね。良い親に育てられたおかげで……ということにしておこうかな(笑)」

 当たり前のことすぎて、意味を見出すのが難しいようだった。そこで、少し角度を変え、サッカー界の偉人について話を向けてみた。

【次ページ】 板倉が開催したイベントでも気合が違った

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