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W杯直前にケガしても「写真、撮ります?」記者やファンを魅了…日本代表DF“板倉滉ほっこり伝説”「本人から“お疲れ様したッ!”と」
posted2023/07/02 06:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
日本の守備の大黒柱となった板倉滉は、なぜ、誰に対してもお礼を言えるのだろうか。
JFAのYouTubeチャンネルに、サッカー日本代表に密着したドキュメンタリーの「Team Cam」という人気シリーズがある。3月の活動時の板倉は、実家で飼われている愛犬ニコちゃんを紹介するなど、近所に住む26歳の好青年のような顔を見せていた。
「細かいとこでもお礼言える板倉選手の人柄が好き」
そんな板倉が代表の6月シリーズで見せたひとコマが、SNSやYouTubeチャンネルのコメント欄をにぎわせている。スタッフの運転するバンに乗った選手たちが練習場に着いた直後のこと――。
「ありがとうございまっす!」
板倉だけがバンを降りる際に運転手に声をかけたのだ。
練習に向けて気持ちを高めている選手もいるし、おしゃべりに興じている選手もいる。何より、練習場で始まろうとしているのは生き残りをかけた戦いだ。運転手のことなど気にとめずに車を降りたとしても、咎められるものではない。
そんな中で板倉の発した一言は多くの人の心を打ったことは、YouTubeのコメント欄にあふれる好意的なコメントからはっきりとわかる。
「車降りるときに、あざすっ! ていう板倉滉は本当に素敵すぎるんです」
「ちゃんとこういう細かいとこでもお礼言える板倉選手の人柄が好き」
「板倉選手が、送迎してくれた車の運転手さんにあざっすって言ってるところがもうすでに違うな」
一体なぜ、板倉はお礼を口にしたのだろうか?
「板倉のことは、みんなが『良い子』だっていうよねぇ」
メディアの間ではそんな会話がよくかわされる。もちろん、川崎フロンターレやベガルタ仙台のファンやサポーター、あるいは関係者であれば、彼の人柄は当たり前のように知っていることなのかもしれない。
“板倉ほっこり伝説”は数え切れない
実際、人間性の良さを物語るエピソード、いわゆる“板倉伝説”は数え切れない。
たとえば、昨年9月。カタールW杯までおよそ2カ月となった時点で左膝の内側靱帯を痛めてしまった直後のこと。
そのタイミングで日本からボルシアMGの練習場に足を運んだファンがいた。わざわざドイツを訪れたのは板倉に会いたいから。しかし、板倉は心を痛めているに違いない。そんな状況でサインや写真撮影をせがむのは、いかがなものか……。板倉を応援するファンだからこそ、様々な思いが交錯して、そのファンは固まっていた。すると、板倉から声をかけられたという。