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「みんなに悪い…1回飛び降りよう」 超人気アイドルレスラーが抱えた“心の闇”…ライオネス飛鳥が語るクラッシュ・ギャルズ“最初で最後の大ゲンカ”

posted2023/06/29 17:00

 
「みんなに悪い…1回飛び降りよう」 超人気アイドルレスラーが抱えた“心の闇”…ライオネス飛鳥が語るクラッシュ・ギャルズ“最初で最後の大ゲンカ”<Number Web> photograph by L)AFLO、R)Hideki Sugiyama

クラッシュ・ギャルズとして一世を風靡したライオネス飛鳥。人気の裏では、大きな葛藤を抱えていたという

text by

伊藤雅奈子

伊藤雅奈子Kanako Ito

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L)AFLO、R)Hideki Sugiyama

1983年の結成から40年、ついにクラッシュ・ギャルズが復活する。第3章の幕開けを記念し、ライオネス飛鳥の独占インタビューを実施。本人が今明かす、人気絶頂の裏で「もう消えてしまいたい」と願った日のこと――。《NumberWebインタビュー1回目/#2#3につづく》

 女子プロレスが誕生して来年で70周年。そのなかで、いわゆる“億り人”に値する女子プロレスラーは、片手で収まる程度だ。ライオネス飛鳥と長与千種によるクラッシュ・ギャルズは、そのトップに君臨した。1983年から、活動期間はおよそ5年9カ月。花の命は短い。しかし、飛鳥でいうと「苦しきことのみ多かりき」といっても言い過ぎではない。人気絶頂期のおよそ1年半ものあいだエゴイスティックな言動を繰り返し、仲間を、リングを、千種を疎み、避けた。

 きらびやかなスポットライトを浴びていたその裏で、飛鳥の身に何が起こっていたのか。

◆◆◆

ライオネス飛鳥さん(以下、飛鳥) ビューティ・ペア(ジャッキー佐藤&マキ上田)みたいになりたいっていう目標があったから、千種と一緒に歌うことは、わりと素直に受けいれました。家で踊ってたしね、♪ビューティ、ビューティ~♪って(笑)。だから、受けいれ態勢の間口は広かったと思う、最初はね。1枚目のレコード(「炎の聖書」)を出してからは、めまぐるしい忙しさになっていって、世間から大注目されているっていうことに気づかないくらい。毎日朝から仕事して、歌の時間に合わせてプロレスの会場に入って、歌って、試合して、夜もまた仕事。

――心が疲弊しませんでしたか。

人気絶頂の裏で…崩れていった心

飛鳥 毎日同じメンバーで試合をして、同じことを繰り返すだけなので、何も吸収できない。ほかの選手の試合も観れないし。そんななかでも、千種は家でプロレスのビデオを観てたみたいだけど、自分はそういう習慣がなかったから、どうやって吸収すればいいのか、方法がわからなかった。そのうえで練習する時間がなくなったことで、ふと立ちどまってしまったんだよね。プロレスラーというものの本質について考えてしまった。

――クラッシュ人気が爆発した85年末にジャンボ堀さんが引退、ジャガー横田選手が引退表明したことも、心のバランスを崩す一因だったのではないかと。

飛鳥 それもあるかもしれないね。2年先輩だけど常に行動をともにしていた堀さんと、師匠であるジャガーさんの引退は、バランスが崩れたひとつの要因だったかもしれない。当時の全女(全日本女子プロレス興業)は、クラッシュの上に堀さんがいて、頂点にジャガーさんとデビル(雅美)さんがいるというピラミッドがしっかりしてたから、そこが崩れてしまうことに心が追いつかなかった。うん、そうだね。

【次ページ】 当時の思考「なんでプロレスラーが歌うの?」

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