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WBC韓国代表“クラブ通い”報道で、大谷翔平の過去発言が話題に…韓国野球にいま、何が起きているのか?「不祥事の時に比較対象としてオオタニを…」 

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崔碩栄

崔碩栄Che Sukyoung

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photograph byGetty Images

posted2023/06/18 11:03

WBC韓国代表“クラブ通い”報道で、大谷翔平の過去発言が話題に…韓国野球にいま、何が起きているのか?「不祥事の時に比較対象としてオオタニを…」<Number Web> photograph by Getty Images

WBCの優勝後、野球人気の向上について「日本だけじゃなくて、韓国もそうですし、台湾も中国も…」と他の国に言及した大谷。過去のある発言がいま、韓国で注目されている

 2000年シドニー五輪の時は予選のオーストラリア戦で逆転負けを喫した後、主力選手たちが飲酒後カジノに行ったことが発覚し非難を浴びた。野球だけに限った問題でもない。

 2007年、東南アジア4カ国で開かれたサッカーアジアカップでも、代表チーム選手たちがホテルを無断で外出、インドネシアの夜の街へ繰り出し、酒を飲んだことで大韓サッカー協会が謝罪した。

 2014年ブラジルW杯では1分2敗でグループリーグを敗退した後、「打ち上げ」として洋酒とビールを混ぜた爆弾酒を飲みながら踊って遊んだことが報道され、大きな非難を浴びた。しかも、この席には監督だった洪明甫(ホン・ミョンボ)も参加したことがわかり、監督を辞任に追い込む理由の一つとなった。

厳しい教育環境の反動

 一部の選手の逸脱行為なら、他の国の選手にもたびたび発生することだ。日本でもスター選手が飲酒や女性問題でトラブルを起こしニュースに登場した例は1回や2回ではない。しかし、そういった個人の問題ではなく、代表チームでこのような問題が繰り返し発生していることは、選手「個人」の問題というより韓国スポーツ界の問題、つまり韓国スポーツ界全般の「自己管理能力」における致命的な問題というべきかもしれない。

 韓国のスポーツ選手たちは小学校時代から厳しい統制の下で育つ。睡眠、食生活、遊びなど自分の欲望を抑え、我慢しなければいけない。しかし、それはなぜ我慢しなければならないのかを自分で納得し、自分の意思で我慢する「自己コントロール」ではなく、厳しい監督やコーチ、親の統制、つまり外部からの「高圧的な統制」による場合がほとんどだ。そのため、統制から自由になる成人になった時、「プロ」としての自覚がまだ足りない状態で富と名誉を得た時に、問題が頻発するのだ。

飲酒騒動でなぜか登場した大谷翔平

 代表チームの敗北以前の問題として、「プロ」選手たちのこのような軽率な行動に対する批判が相次いだ。これが韓国球界全体の人気にマイナスとなったことは言うまでもない。そんな雰囲気の中で運悪く(?)登場したのが「オオタニ」だ。大谷のストイックな生活は韓国の野球ファンにもよく知られているが、韓国代表の不祥事発覚で再び注目されたのだ。

【次ページ】 大谷翔平を比較対象とされる韓国選手

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