韓国国内リーグに目を向けてみても同じだ。2022年シーズンに首位打者、打点王でシーズンMVPを受賞し、日本との試合でも唯一2安打を放ち、気を吐いた韓国最高の人気選手、李政厚（イ・ジョンフ、元中日・李鍾範の息子）はデビュー以来、初めて3割を下回る成績でスランプに陥り、来季有力視されていたメジャー進出にも赤信号が灯っている。

WBCでは活躍を見せ、メジャーへの期待も高まっていたイ・ジョンフだが…　©JIJI PRESS

「失態」と「失望」が招いたクラブ通い報道

　国内からも、海外からも明るいニュースが聞こえてこない。これでは野球ファンが脱力感を覚えるのも無理はない。ここに追い打ちをかけるように、ファンをがっかりさせる東京発のニュースがもう一つ、韓国に伝わった。それは今年3月WBC代表として東京遠征に出向いていた韓国代表チームの一部が、試合前日と試合後に「韓国クラブ」に出かけては朝まで飲酒をしたという暴露記事である。

　韓国のユーチューブメディア「SAY ENTER」によると、日本戦の先発だった金廣鉉（キム・グァンヒョン）を含む3人の選手が東京赤坂にある韓国クラブで女性従業員と一緒に酒を飲んだという。初めてこの“クラブ通い”が報道された時、多くの韓国ファンは半信半疑だった。国内レギュラーシーズン中の試合でもなく、国の代表として参加した海外遠征でまさかそんなことを？　と疑ったのだ。 しかし、韓国野球委員会（KBO）の事情聴取の後、遠征時の飲酒は事実であることが明らかになった（本人たちは試合前日の飲酒と女性従業員の同席は否定）。

日本戦では2回まで5奪三振と日本キラーぶりを発揮した34歳の先発キム・グァンヒョン　©Naoya Sanuki

　 実はこのスクープはメディアの調査によるものではなく、日本在住の韓国人による「リーク」が発端となっている。在日韓国人コミュニティ内の「噂」を誰かが韓国にリークし、韓国のメディアが直接東京に来てインタビューと確認を経て報道したのだ。おそらく代表チームの失態に失望した人による「リーク」だったのだろう。

韓国代表の“飲酒騒動”史

　韓国代表チームの海外遠征時の飲酒波紋は昨日今日に始まったことではない。

【次ページ】　厳しい教育環境の反動