オリンピックへの道BACK NUMBER
始球式に1日署長、多忙すぎる“りくりゅう”は今…振り付けや筋トレだけじゃない「フィギュアスケーターって、シーズンオフは何してる?」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2023/06/12 17:02
5月10日、バンテリンドームで始球式を行った“りくりゅう”こと三浦璃来と木原龍一
三原舞依は飛行機もホテルもすべて自力で用意して…
また、強化や成長を志しオフならではの行動をとる選手もいる。三原舞依は昨年5月、カナダのクリケットクラブで練習する機会を築いた。
「日程をはじめ飛行機、ホテルの予約も自分でして、先方とのお話も全部自分で。1人でやりきって、1カ月でけっこう成長できたかなと思います」
依頼をはじめ1人でやりきった経験は、昨シーズン、好成績をおさめた要因の1つとなった。
また、シーズン中に取り組む場合もあるが、バレエレッスンで表現面を磨くといった時間もある。
上位で活躍する選手たちは「アイスショー」への出演もある。2022-2023シーズンも世界選手権終了直後から「スターズ・オン・アイス」や「プリンスアイスワールド」、「アイスエクスプロージョン」、「ファンタジー・オン・アイス」、さらに「THE ICE」「フレンズオンアイス」、今年なら「ワンピース・オン・アイス」など、ショーが継続して行われ、複数のショーに出演する選手も多い。その中には滑るだけでなく台詞が予定されているものもあるから、それに備えての準備にも時間を割くことになる。
イベントでも大忙しの“りくりゅう”はどんな生活を?
あらためて見てくると、スケーターたちが「オフ」という言葉とは異なる多忙な日々を過ごしていることが分かる。
昨シーズン、出場したすべての大会で優勝、グランプリファイナルや世界選手権では日本ペア初の金メダルを獲得した三浦璃来・木原龍一。シーズンを終えたあと、木原が早くも来シーズンに目を向け、こう語っていた。
「シーズンの初戦として、9月から始まるチャレンジャーシリーズを予定しています」
三浦の怪我もあって遅れた昨シーズンより早い始動を考えていることを明かした上で、「来シーズンの宿題が出てきてよかったなと思います」と話し、オフにはさらに難度の高いリフトなどにも挑む意向を明かしていた。
プロ野球の始球式や一日署長など、シーズンの活躍に伴って生まれた数多くの行事をこなした2人は、5月15日に拠点とするカナダに戻り、さらなる成長のための時間を過ごしている。今後はアイスショー出演に合わせて帰国するが、それは練習してきた成果を示す機会ともなる。
氷上での華やかな時間は、そこに向けられた努力と時間の、わずかな表層にほかならない。その時間を輝かせるために、選手たちは多忙なシーズンオフを過ごしている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。