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格闘技PRESSBACK NUMBER
「シウバの身体が小さくなっている…」カメラマンがUFCで目にした“哀しい現実”…15年続いたジャクソンとの抗争はどんな結末を迎えたのか?
posted2023/06/10 17:01
text by
長尾迪Susumu Nagao
photograph by
Susumu Nagao
2004年10月31日、『PRIDE.28』のメインに組まれたヴァンダレイ・シウバとクイントン・“ランペイジ”・ジャクソンによるミドル級タイトルマッチ。初めにリングへ登場した挑戦者のジャクソンが、携帯電話で誰かと話をしている。その通話はシウバの入場から国歌斉唱の寸前まで続いた。後で判明したことだが、彼はガールフレンドに電話でプロポーズしていたそうだ。
序盤はジャクソンが優勢「あのまま試合が続けば…」
いよいよ試合が始まる。レフェリーに促されて両者が中央へ。シウバはいつも通り身体を揺らしながら睨みつけるのだが、初対決のときに比べてジャクソンの方が落ち着いているように見える。その証拠に、睨み合いの最中にジャクソンは笑みさえ浮かべていた。
ゴングが鳴っても彼は冷静だった。ジャクソンは体格差を生かしながらプレッシャーをかけ、自らの間合いで試合を進める。シウバのパンチやキックを丁寧にブロックしながらカウンターの右フックを当て、相手がよろめいたところを首投げからテイクダウンに成功。ジャクソンは上からのパウンドで攻め込むが、シウバも三角絞めやアームロックで対抗した。
シウバはこの試合に向けて寝技のスキルを磨いた結果、柔術の黒帯を取得するほどにまで上達した。寝技の展開が長く続き、1ラウンドの残り時間も少なくなったタイミングで、レフェリーが両者を立たせてスタンドから試合を再開させる。シウバの得意な打撃が炸裂するかと思われた瞬間、ジャクソンの右ストレートがクリーンヒット。シウバはたまらず腰からダウンした。
ここが勝機とみたジャクソンは全力で攻め立てる。グラウンドで上になるとパウンドの連打からサイドポジションに移行し、膝蹴りを頭部にヒットさせる。上半身を起こしながらフルパワーのパンチがシウバの顎を打ち抜き、仕留めにいったところで1ラウンドが終了。シウバはゴングに救われた。あのまま試合が続けば、かなりの確率でジャクソンがKOしていたのではないか。