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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「僕が観ていたのはNARUTOです」衝撃の4ゴールをあげた湘南・町野修斗が明かす”忍者ポーズ”の由来「Jリーグで無双するくらいじゃなきゃ」
posted2023/06/10 11:03
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
古今東西、忍者は広く愛される。
柳生武芸帳、赤影、影の軍団、忍者ハットリくん、燃えよNINJA、ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズに忍たま乱太郎、カクレンジャー、ハリケンジャー、ニンニンジャー……子供が喜ぶものから大人が楽しめるものまで挙げればキリがない。最近では「忍者に結婚は難しい」といった恋愛×忍者のパターンまで出てきている。
「ハットリくんは観てないですね。僕が観ていたのはNARUTOです」
声の主は先のカタールワールドカップメンバーで、湘南ベルマーレのエース、23歳の町野修斗である。そうだ、海外でも大人気のアニメを忘れてはいけなかった。
両手で印を結ぶ忍者ポーズを決めるゴールセレブレーションは、サッカーファンにお馴染みとなってきた。手は左が上で、右が下。左は鞘を、右は刀をあらわすそうで、「刀を鞘に収める」意味があるとか。
町野は三重・伊賀に生まれ育った。2年前のオフ「散歩がてらに」伊賀流忍者博物館にぶらりと立ち寄って手裏剣体験をしたことが忍者ポーズ誕生のきっかけとなった。これが“開運”となり、昨シーズンにキャリアハイとなる13ゴールを挙げてブレイク。追加招集でワールドカップ行きをつかみ取っている。
今シーズンも忍者ポーズは調子のバロメーターである。
5連敗という苦しい状況で臨んだ6月3日、ホーム・レモンガススタジアム平塚でのアルビレックス新潟戦。開始早々に味方がPKを奪うと、ボールをセットした町野は落ち着いてゴール左に蹴り込んで先制点を奪った。忍者ポーズに続けて両手を広げての相撲ポーズまで披露。
チームはその後2点を奪われ逆転されたものの、終盤に小野瀬康介のゴールで追いついて連敗を何とか食い止めている。
得点数はこれで「8」、J1得点ランキング3位タイだ。今回、日本代表6月シリーズ(対エルサルバドル代表、ペルー代表)のメンバーから外れてしまったものの、“ラージグループ”に入っている一人。有望なストライカーであることは言うまでもない。
初のワールドカップで得た大きな刺激とは
今シーズン、町野はJリーグで伝説をつくった。
4月1日、ホームでのガンバ大阪戦において、30年間の歴史において初めて前半だけで4ゴールを叩き出すという離れ業をやってのけたのだ。
爆発の前兆はあった。