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侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
大谷翔平のスイーパーは「三塁側ベンチの方から体の内側へ入ってくるような…」WBC中国代表の真砂勇介が振り返る“魔球攻め”と日本戦秘話
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2023/06/12 17:00
WBC1次ラウンド初戦に先発した大谷翔平。中国代表として対戦した真砂が振り返る驚愕体験とは…
元同僚・甲斐に「ニーハオ!」
大谷はこの回限りで交代し、結局4回を1安打無失点。真砂は、7回の第3打席で対戦した戸郷翔征(巨人)からレフトへの二塁打を放った。
「戸郷とは何度か対戦していてソフトバンク時代から悪いイメージはなかったんです。甘いところに投げてくれ、という感じで打席に入ったらいいところに飛びました」
試合中は密かな交流もあった。マスクをかぶっていた甲斐拓也はソフトバンクの元チームメート。打席に入った際には、会話を交わしていたという。
「1打席目に入る時に『ニーハオ!』って。あとは最後の打席で、自分の方から『今日は一日、ありがとうございました』と言いました。試合を通じて、日本代表と対戦するのは本当に楽しかったです。これまでで一番大きい試合だったんじゃないかな、僕の中で。プレッシャーもなく、ただひたすら楽しめた。そういう試合は大袈裟かもしれないけど、野球人生で最初で最後だと思いますね」
「やはり日本との実力差は…」
終わってみれば中国は日本に1−8で敗れたが、中盤までは緊迫した接戦だった。6回には真砂と同じ日本育ちで東海大菅生高出身の梁培(リャン・ペイ)が戸郷からホームランを放ち1−3と2点差まで追い上げる場面も。75歳のディーン・トレーナー監督の老練な采配も相まって、不気味な存在感を出し続けた。
「2点差になったところまでは、まだ何があるかわからない状態ではあったけれど、やはり日本との実力の差は大きかったですよ。それでも選手たちはみんな、試合を楽しんでいたし終始いい雰囲気でした」
中国は翌日行われたチェコ代表との2戦目で、9回途中まで5−4とリードしながら、一挙に4点を奪われる逆転負け。結局4戦全敗で1次ラウンド敗退となった。野球の普及という面では“後進国”でありながら、大いなる可能性を秘める中国。代表チームの一員として過ごした日々は、どのようなものだったのか。
〈続く〉
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