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久保建英、板倉滉、伊藤洋輝にイタリア王者ナポリ熱視線のナゼ…名物クセ者会長「ジャッポーネ!」と叫ぶ“極東アジア志向”とは
posted2023/06/10 16:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
セリエA王者ナポリが日本人プレーヤーに目をつけた。
曲者で知られるアウレリオ・デラウレンティース会長直々の獲得指令だ。候補リストにはMF久保建英(レアル・ソシエダ)とDF伊藤洋輝(シュトゥットガルト)、そしてDF板倉滉(ボルシアMG)の名が挙がっている。
33年ぶりのスクデット獲得で意気上がる南イタリアの強豪が極東へ注ぐ熱視線の理由は何か。
リーグ制覇の夜に飛び出した「ジャッポーネ」
「スクデットを獲ったが、我々はここで止まるつもりはない。次の目標はチャンピオンズリーグ(の優勝)だ。今後、ナポリは日本、韓国、アメリカから広く戦力を募り、世界へ打って出る」
名物会長の口から「ジャッポーネ(日本)」の名が唐突に飛び出したのは5月4日、ナポリが33節のウディネ遠征でリーグ制覇を決めた夜のことだ。
本拠地「マラドーナ」でのパブリックビューイングでチームの優勝を見届けた会長は、興奮状態のナポリっ子数万の前でわざわざ国籍まで指定して補強を約束すると、5月28日夜に出演した全国放送のトークショー番組でも日本人獲得が目標だと強調した。ここまでくればリップサービスではないことは明らかだ。
選手発掘の慧眼に定評があるナポリのスカウトチームは、現在ドイツやベルギーで多くプレーする日本人選手たちを「欧州カップ戦での経験や高い順応力をもつ新世代」と位置づけ、セリエA優勝クラブにとっても即戦力級との高い評価を与えている。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』等の現地メディア報道によれば、ナポリは放出の可能性が高いメキシコ代表FWイルビング・ロサーノの後釜として、プレーの安定度と決定力を今季飛躍的に成長させたMF久保をリストアップした。
またUEFAチャンピオンズリーグで今季到達したベスト8以上を狙うため、守備陣のテコ入れにDF伊藤とDF板倉のブンデスリーガ組も獲得の有力な候補に。2人はそれぞれ空中戦での高さや最終ラインからの組立て能力など長所を買われているが、これは近年、ボローニャから出世した冨安健洋(現アーセナル)やサンプドリアでベテラン味を見せた吉田麻也(シャルケを退団)が、セリエAにあった日本人センターバックへの先入観を払拭した恩恵ともいえる。
セリエA最優秀DFに輝いた韓国代表の影響も大きい
ナポリの極東アジア志向は、今季入団1年目ながら大活躍した韓国代表DFキム・ミンジェの影響も大きい。