- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
那須川天心に寄せられた「ボクシングでは通用しない」の声…それでも強気の姿勢を貫く理由「そのうちみんな掌を返すと思うので」《単独インタビュー》
posted2023/06/08 11:06
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Susumu Nagao
いまやアスリートにとって、SNSは自己主張の場として必要不可欠なアイテムになりつつある。中には選手たちに積極的な発信を促す団体もある。那須川天心も、以前はまるでそれが習慣であるかのように発信していた。
しかし、最近はSNSとの距離が大きく変わりつつある。4月8日のプロボクシングデビュー戦後、「那須川天心」の名は当たり前のようにトレンド入りしたが、天心がエゴサーチに走ることはなかった。
「そのうちみんな掌を返すと思うので」
その理由がふるっている。
「SNSは手段でしかないので」
自らもヘビーユーザーだっただけに、天心はSNSの長所と短所を見抜いている。
「SNSの悪いところって、自分が好きなものしかフォローしないから、それが世間でも超盛り上がっていると勘違いしてしまう。実際には、自分たちの村でしか盛り上がっていないことが多いんですけどね」
いまもSNSをやめたわけではないが、発信する内容は吟味している。
「村に伝えるのではなく、もっと広い範囲に伝えたい。だから(格闘技ファンだけではなく)誰が見ても『あっ、それはたしかにそうかも』と共感できたりするものを発信するようにしています」
SNSにおける天心の話題は、本人よりもファンや周囲の者の方が注視しているということか。ボクシングでのデビュー戦から約2カ月、改めてその出来について聞くと、天心は「全てこれからなので」と言及を避けた。
「何か言っている人もいるけど、別にいい」
天心がスルーしようとしているものは、「那須川天心はボクシングでは通用しない」という評価だ。本人が意識していなくても、どうしても多少は耳に入ってくるということだろう。1戦だけで判断を下さず、もっと気長に見た方がいいと思うが、天心は相変わらず強気な姿勢を打ち出す。
「そのうちみんな掌を返すと思うので、みんなで僕を楽しんでくれと思いますね」