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那須川天心に寄せられた「ボクシングでは通用しない」の声…それでも強気の姿勢を貫く理由「そのうちみんな掌を返すと思うので」《単独インタビュー》

posted2023/06/08 11:06

 
那須川天心に寄せられた「ボクシングでは通用しない」の声…それでも強気の姿勢を貫く理由「そのうちみんな掌を返すと思うので」《単独インタビュー》<Number Web> photograph by Susumu Nagao

今秋にプロボクサーとしての第2戦を予定している那須川天心。インタビューでは「人生をかける価値がある」とボクシングへの情熱を口にした

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

photograph by

Susumu Nagao

2023年4月8日、有明アリーナでプロボクサーとしての第一歩を踏み出した那須川天心。キックボクシングで42戦全勝(28KO)という記録を残し、鳴り物入りでボクシング界に殴り込んだ24歳は、自身を取り巻くさまざまな声をどう受け止めているのか。9月に予定されているプロ第2戦を前に、NumberWebの単独インタビューに答えた。(全2回の2回目/前編へ)

 いまやアスリートにとって、SNSは自己主張の場として必要不可欠なアイテムになりつつある。中には選手たちに積極的な発信を促す団体もある。那須川天心も、以前はまるでそれが習慣であるかのように発信していた。

 しかし、最近はSNSとの距離が大きく変わりつつある。4月8日のプロボクシングデビュー戦後、「那須川天心」の名は当たり前のようにトレンド入りしたが、天心がエゴサーチに走ることはなかった。

「そのうちみんな掌を返すと思うので」

 その理由がふるっている。

「SNSは手段でしかないので」

 自らもヘビーユーザーだっただけに、天心はSNSの長所と短所を見抜いている。

「SNSの悪いところって、自分が好きなものしかフォローしないから、それが世間でも超盛り上がっていると勘違いしてしまう。実際には、自分たちの村でしか盛り上がっていないことが多いんですけどね」

 いまもSNSをやめたわけではないが、発信する内容は吟味している。

「村に伝えるのではなく、もっと広い範囲に伝えたい。だから(格闘技ファンだけではなく)誰が見ても『あっ、それはたしかにそうかも』と共感できたりするものを発信するようにしています」

 SNSにおける天心の話題は、本人よりもファンや周囲の者の方が注視しているということか。ボクシングでのデビュー戦から約2カ月、改めてその出来について聞くと、天心は「全てこれからなので」と言及を避けた。

「何か言っている人もいるけど、別にいい」

 天心がスルーしようとしているものは、「那須川天心はボクシングでは通用しない」という評価だ。本人が意識していなくても、どうしても多少は耳に入ってくるということだろう。1戦だけで判断を下さず、もっと気長に見た方がいいと思うが、天心は相変わらず強気な姿勢を打ち出す。

「そのうちみんな掌を返すと思うので、みんなで僕を楽しんでくれと思いますね」

【次ページ】 まだボクシングの「ボ」を学んだばかり

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