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ボクシングPRESSBACK NUMBER
那須川天心は井上尚弥の「比べるのは流石に可哀想」をどう受け止めた?「あっ、触れるんだ…」24歳が語ったホンネ《単独インタビュー》
posted2023/06/08 11:05
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Susumu Nagao
今春、那須川天心はキックボクサーからボクサーに転向し、プロデビュー戦を勝利で飾った。振り返ってみれば、キック時代にはMMAやミックスルールでも闘っている。根っからチャレンジ精神が旺盛な選手なのだ。
そして必要とあらば、タイガーマスク的な存在にも変身する。5月27日には大阪へ飛び、キックボクサー時代に練習の拠点にしていたTEPPEN GYMの大阪支部で、「天心ファミリープロジェクト」を実施した。
子供たちにとっての「ウルトラマン」に
このプロジェクトは以前から天心が定期的に開催しているもので、養護施設などで過ごす児童たちを自分の試合に招待するだけでなく、セミナーの形で格闘技のイロハを教えている。去る4月8日のプロボクシングデビュー戦でも天心は40名の子供たちを招待し、試合後には一緒に記念写真にも納まった。競技は変わっても、格闘技を通じて社会貢献しようとする姿勢には1ミリたりともブレがない。
この日は大阪、京都、和歌山、そしてはるばる千葉から計16名の少年少女が集まった。このプロジェクトを行なう意義について、天心は力強く語った。
「社会で生きていると、いろいろなことに左右されてしまったり、ときにはマインド的にマイナスになることもある。そうなったときに耐えられるだけの心の強さを、格闘技を通じて身につけてほしいんです」
この日は身体に染みついたキックの基本を懇切丁寧にレクチャーした。天心が実際の動きのデモンストレーションを行なうと、一同から「オーッ」と大きなどよめきが起こる。天心が持つミットめがけて、参加者全員が1分間ずつミット打ちできるメニューになると、みな目を輝かせながら一心不乱にパンチやキックを打ち込んだ。マンツーマンで憧れのヒーローと接することができるのだから、活き活きするのも当然だろう。
天心はかつての自分と、少年少女たちを重ね合わせていた。
「幼稚園か小学1、2年生くらいの頃、僕もウルトラマンフェスに連れていってもらって。ウルトラマンと一緒に写真を撮るときは、めちゃくちゃテンションが上がりましたからね(笑)」