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久保建英22歳誕生日に「タケはアイドル」日本語ボードの子供、メッシっぽい新ユニ姿やソシエダ主将との別れ…カメラマンが見た“幸せな最終節”
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/06/08 11:00
充実の22-23シーズンを終えた久保建英。そのポテンシャルがついに覚醒し始めた1年と言っていい
右サイドに入った久保には、この日デビューとなった20歳のオルミゴがマークについた。そのセビージャの新人を久保は翻弄した。激しくマークにつかれるといなすようにバックパス、またはカットインからクロスを送り、少しでも隙を見出すと、果敢に縦への突破を成功させた。
久保のキレある突破がソシエダの攻撃を促進した
久保のキレある攻撃もあり、ソシエダがゲームを支配する。28分には、バレネチェアの落としに走り込んだブライス・メンデスがダイレクトで蹴り込み先制に成功した。
久保のプレーにフォーカスを移すと――30分、自陣ペナルティーボックス脇でボールを受けると一気に加速、懸命に追い縋るオルミゴをドリブルの緩急で抜き切ると60メートル超を駆け抜けて、ブライスの決定機を演出している。
その姿には、若き日のメッシを彷彿させるものを感じたファンもいたのではないだろうか。
この日のソシエダは、来季用新ユニホームを着用していたのだが、チームカラーの青白の”青”の色味が今季のものより水色に近くなっており、奇しくもアルゼンチン代表ユニホームを纏うメッシの姿が重なって見えた。
さらに前半終了間際にも、スベルディアがライナー性のパスを久保へ届ける。すると久保は身体を進行方向とは逆に向ける。これに対して“縦への突破はない”と判断したオルミゴが久保へ勢いよくプレスをかけた。すると久保は、左足で軸足裏にボールを流すようにコントロールして、身体を一瞬で180度反転させ縦へと突破。完全に不意をつかれた守備者はピッチに滑り込み、久保を見送ることしかできなかった。
久保に翻弄されたオルミゴは――ハーフタイムでの交代に追い込まれ、苦いデビュー戦となってしまった。
ブライスの“判断基準”に起きた変化とは
久保は72分までプレー。残念ながらバースデーゴールを奪うことはできなかったが、積極的にシュートを狙い、また特筆すべきなのはブライスとのコンビネーションで相手ゴールを目指した点か。
リーグ中盤まで、ブライスの判断基準では、久保への単純なパスより久保を囮に使うプレーを好んでいたが――怪我から復帰後、特に終盤での久保の好調もあっただろうか、久保へのパス、久保とのコンビネーションが増えてきており、互いに今季がソシエダ1年目だということを考えると、来季以降の更なるコンビの熟成が期待できそうだ。
久保と交代したアリチョがピッチに入った直後の73分にゴールを奪い、ソシエダはリードを広げる。77分セビージャに1点を返されたものの、2-1でゲームは終了を迎えた。
また久保の交代と前後して61分、チームキャプテンでありこの日がソシエダとして最後のゲームとなるイジャラメンディがピッチを後にしている。その際には、大きな歓声と拍手が送られた。