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「カマダは過小評価されている」“古巣”の監督、ファン、長谷部誠が語る鎌田大地“ココがスゴイ”「いなくなって初めて“カマダロス”の大きさが…」
posted2023/06/07 11:02
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
JIJI PRESS
フランクフルトで2018-21年まで監督を務めていたアディ・ヒュッターが日本代表MF鎌田大地を「スペースユーザー」のように称していたことがある。両チーム合わせて22人の選手がグラウンド上でスペースをめぐる駆け引きを行うのがサッカーというスポーツだ。日進月歩で進化するトップレベルのサッカーでは、自由にプレーできるスペースを相手に受け渡さないための守備戦術が洗練されて浸透し、さらに研究されている。オフェンシブな選手にとっては思い通りにプレーすることが難しい時代と言えるのかもしれない。
どこに危険なスペースがあるかを予見する能力
そんななか鎌田はスペースを見つけ出し、そこに入り込む感覚が極めて優れている選手だとヒュッターはいうのだ。「スペースの見つけ方、意識の仕方、使い方が身についている」と。そういう視点で試合を見ているとスルスルと相手守備の間をすり抜けていくシーンをよく目にする。中盤でパスを引き出して、味方のチャンスにつなげたり、ゴール前にボールが抜けてきたと思ったら、そこに鎌田が待ち構えていたり、と縦横無尽にスペースへと走り込んでいた。
フランクフルトをヨーロッパリーグ優勝へ導いたオリバー・グラスナー監督も鎌田の資質を誰よりも高く評価していた。それこそ「彼のようにプレーインテリジェンスのある選手を見たことはそんなにない。ダイチはどこに危険なスペースがあるかを予見する能力が極めて高い」と称賛していたことがあるほどに。
サッカーインテリジェンス
あるいは同僚としてプレーする元日本代表キャプテン長谷部誠に言わせるとこうだ。
「サッカーインテリジェンスが非常に高いので、一緒にプレーしていてもボールの引き出し方とか走る場所とか、いいとこいるなと思うし、出し手としても出しやすい。他の選手よりも動きがいいので出しやすいというのは正直ありますね」
そうしたインテリジェンスというのは、17年7月サガン鳥栖からフランクフルトへ移籍してきたとき、すでに垣間見られていた。当時監督だったニコ・コバチはブンデスリーガ初挑戦の日本から来た若者の中に《なにか》を見出し、だからこそそのシーズンの開幕戦でスタメン起用をしたのだろう。