「3年生は夏の大会が終わった瞬間、受験生に切り替わります。進路が決まるまでホッとできる時はありません。県外の大学へ進む選手も多い中、保護者は高校生の子どもと過ごせる時間が限られています。せめて大型連休最後の2日間は、家族の時間にしようと思いました」

高校野球は野球の技術を伸ばすだけの場ではない

　久しぶりの連休に、選手は家族で旅行したり、ゆっくり食事したりした。稲木監督は選手たちに「家族で出かけてもいいし、家の手伝いをしてもいい。家族で過ごしてほしい」と伝えていた。

　稲木監督は常識に縛られず、高校野球に新たな役割や価値観を生み出そうとしている。野球振興は富士高校に赴任してから1年余りで6回に上り、三島南時代を合わせると40回を超えた。

「高校野球は野球の技術を伸ばすだけの場でありません。富士高校の特徴を生かした野球振興や地域貢献を続けていきたいと思います」

　イチロー氏の目も引いた進学校が、高校野球の可能性を広げようとしている。

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“7時間目まである公立進学校の野球部”の意識改革はイチローさんの指導から…「考え方や姿は選手に響いた」かけがえのない経験とは

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