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「ずっとそばにいてくれて、ありがとう」ナイスネイチャ35歳の大往生を見届けた渡辺牧場の思い…引退馬支援を支えた“共感を得る力” 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byDaisuke Asauchi

posted2023/06/04 11:03

「ずっとそばにいてくれて、ありがとう」ナイスネイチャ35歳の大往生を見届けた渡辺牧場の思い…引退馬支援を支えた“共感を得る力”<Number Web> photograph by Daisuke Asauchi

5月30日に35歳でこの世を去ったナイスネイチャ。多くの人に愛されながら、生まれ故郷の渡辺牧場で幸福な余生を過ごした

 引退馬協会にとっても、「広報部長」を担うナイスネイチャの“共感を得る力”が大きな助けになった。2017年から始まったバースデードネーションへの支援額は年々増え続け、『ウマ娘』ブームも手伝って人気が再燃した2021年は3582万9730円、2022年は5412万7293円、2023年は7402万2066円と、合計で1億6000万円を超える寄付金が集まった。この寄付金は年ごとのテーマに沿って、さまざまな形で引退馬の支援に役立てられている。

「ずっとそばにいてくれて、ありがとう」

 かつては勝ち気な性格だったが、晩年は馬を恋しがるような仕草を見せるようになっていたというナイスネイチャ。“相棒”のメテオシャワーと仲良く放牧地を歩き回り、幸せそうに草を食む姿に、多くのファンが心を癒やされていた。

 人間に換算して100歳を超えようかという高齢だっただけに、年齢相応に体力は衰えていたが、渡辺さんは「歯が悪かったので飼葉をスムージー状にして食べさせたり、なにかあればすぐにお医者さんに診てもらったり……。過保護と言われるかもしれませんけど、私たちも一生懸命に大事にしてきました」と献身的にナイスネイチャを支えた。「ただ長生きするのではなく、幸せに長生きすることが大切」と考える牧場スタッフの愛情がなければ、こうして安らかに天寿を全うすることは叶わなかっただろう。

 5月31日、ナイスネイチャの葬儀が渡辺牧場で執り行われた。多忙の合間を縫って電話での取材に応じてくれた渡辺さんは、あらためてナイスネイチャへの感謝を口にした。

「ずっとそばにいてくれて、ありがとう。ただただ、その思いだけです」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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