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“ご意見番”武蔵丸の厳しい意見「最近の大関たちは“大関”の価値を下げているよ」「なぜ照ノ富士は好調な関脇・大栄翔と対戦しなかったの?」 

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武蔵川光偉

武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide

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posted2023/05/30 17:12

“ご意見番”武蔵丸の厳しい意見「最近の大関たちは“大関”の価値を下げているよ」「なぜ照ノ富士は好調な関脇・大栄翔と対戦しなかったの?」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

夏場所を14勝1敗で制した横綱・照ノ富士。自身8度目の優勝を飾った

 でもさ、ここ最近の大関陣は、本来、相撲界の看板である「大関」の価値を下げている気がする。あえて言えば琴奨菊(現秀ノ山親方)以降の大関か……。いくら数字上はクリアしたといっても、今で言えば御嶽海やら正代やら、数場所在位した「元大関」ってことになっちゃってるの。数字だけでエスカレーターみたいに昇進するのではなく、一歩一歩でも階段を昇っての昇進というのかな。もっと自分の形、自分の相撲をきっちり確立してから昇進したほうが本人のためにもいいと思うんだよな。大関の地位のプレッシャーって絶対あるんだもの。もちろん協会としても横綱や大関は欲しい存在だと思うよ。

“令和の怪物”落合に足りないモノ

 若元春は、焦らなくとも大関になるよ。左四つという自分の形を持っていて、立ち合いで当たり負けせずに自分の形に持ってゆく。今の関脇陣では一番いいな。前に出る力強い相撲で、僕たちクロウト筋から見ても、面白い相撲を取ってくれる。弟(休場中の若隆景)のぶんまで頑張ってほしいよね。

 関脇の大栄翔もまた良かったな。あえて言えば、上位陣には強くて下位のお相撲さんにはピンと来ない相撲を取ってしまうことがある。彼のような押し相撲のお相撲さんは「今場所は良かったけれど、翌場所は良くなかった」というようなアップダウンがありがちなんだけれど、常に、いい意味での”横這い”状態を保ってほしいね。

「令和の怪物」と言われて話題を集めた十両の落合。千秋楽では優勝をかけて豪ノ山と戦ったけれど、先場所、今場所の本割と決定戦で対3連敗。19歳と若い割には、「受けてからなんとかしよう」「まわしを取ってからどうにかしよう」という守りの相撲なんだ。一方の豪ノ山は、立ち合いから攻めてる。落合も今後はもう少し細かい相撲を取っていけば、もっともっと面白い存在になるよ。

相撲界は世代交代が進んでいる

 そうそう、一度は幕内に昇進するも、跳ね返されて十両8枚目の地位にいる熱海富士。力をつけて、今場所はいい相撲を取っていたよね。

 2メートル4センチの規格外のスケールで注目の、前頭11枚目の北青鵬も面白いよ。ニューフェイスで、周囲からノーマークってこともあるんだけれど、相手の肩越しに上からまわしを取るのね。まだまだ相撲が雑で、それだけじゃ今後は相手に研究されてしまって難しいかも。もっと体を活かして、当たって前に持っていったら相手は一発で吹っ飛ぶよ。それと、右四つの形をもっとうまく使えればいいとも思うんだよな。

 かくいう僕も、武蔵川部屋を再興して今年で10年を迎えたんだ。「相撲が好きで、是非やりたい!」と、特に実績もなくシロウト同然で入門してきた子が多いのが、うちの部屋。日々、厳しく丁寧に、弟子たちと向かい合っているところ。歯がゆいことばかりだけれどね。

 しかし、ここのところの相撲界は世代交代が進んで、勢いあるニューフェイスが現れている。今場所は特に十両、幕内ともに優勝争いが面白かったな。これからの相撲界は、ますます面白くなると確信した場所。みなさま、連日の満員御礼ありがとうございました!

(構成=佐藤祥子)

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