マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「大学3年生だけど1位指名したい」昨秋プロ野球スカウトが語った逸材&大阪桐蔭エースは「プロ即戦力級」…2023年“ドラ1候補の30人”とは?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2023/06/03 11:03
【ドラ1候補・高校生編4】前田悠伍・投手・大阪桐蔭高・180cm80kg・左投左打
【ドラ1候補・高校生編6】鈴木叶・捕手・常葉大菊川高・180cm78kg・右投右打
現役当時の敏捷性抜群のスローイングが目の裏にはっきり焼き付く石岡諒哉監督(同校→ENEOS)仕込みのディフェンスワークが、着々とプロ仕様に近づいている。左足から動けて、しっかり腰を割ってフットワークで投げられる二塁送球はベース手前でホップするように見えて、1.8秒台。精度を伴った「刺せる強肩」で、リリースポイントの低さが違う。県内レベルでは狙って本塁打もあるが、全国レベルの球威に立ち向かえるスイングの強さが加われば、高校No.1マスクにも。
未来予想図・矢野燿大(元・阪神など)
◆◆◆
おそらく、大学・社会人選手については、ここまでに挙げた24選手からの出入りはほとんどないと見ている。あとを追う選手たちとの間に、やや開きがあるように思う。
間隙を突いてくるとしたら、桐蔭横浜大・古謝樹投手(181cm75kg・左投左打・湘南学院高)か。テークバックの見にくいフォームから最速150キロ、アベレージ140キロ前後の速球と鋭いスライダー、ツーシームで勝負。昨秋リーグ戦5勝、今春もここまで4勝……「勝ち」の付いてくる投手になりつつあるが、まだ調子の波があったり、一本打たれた後のマウンド姿に「弱さ」が漂ったり。絶対的エース感でマウンドを支配できるようになったら、プロ側の信頼も一気に増してくるはずだ。
わからないのは「高校生」だ。例年、夏にかけて、別人のような成長を見せる選手が何人かいるものだ。
ここに挙げた高校生6選手たちも、それぞれのカテゴリーで飛び抜けた存在と見ているが、実際に、「光高・升田早人投手」が今春センバツで彗星のように現れたように、ここに「7人目」「8人目」が台頭してくることを、むしろ期待している。
夏を経て、ドラフトの秋……まだ5カ月弱もあるように思うが、追いかけてみるとアッという間。
どんな展開になっていくのか……ドラフト史上トップ3に入るほどの人材豊富な年なのは間違いないだけに、余計に今から胸が躍る。