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早稲田ラグビーが始めた“6時半の朝練”「部員にヒアリングして」清宮イズムを知る大田尾監督41歳は“今ドキの学生”にどう向き合っている?
posted2023/05/10 11:01
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
早稲田大学ラグビー部の大田尾竜彦監督が就任3年目を迎える。
「多くの気づき、修正すべき点を得られた2年間でした。大学ラグビーは10カ月という短い期間で新しいチームを作っていきます。リーグワンでは2、3年一緒にプレーしていると自然とプレーが熟成していきますが、大学はそうはいかない。
では、そうした時にどうするか? シンプルなことを突き詰める重要性を感じました。学生たちが苦しい局面に立った時に、拠りどころとなるようなどこか尖った武器を持つことが大切だと感じて、今シーズンに突入しています」
大田尾監督は2000年に早大に入学。2002年度には清宮克幸監督の下で優勝を経験し、2003年度はキャプテンを務めた。卒業後はヤマハ発動機(現・静岡ブルーレヴズ)でプレーし、2018年に引退。その後はヤマハ発動機ジュビロのBKコーチに就き、2021年から母校を率いる。
監督が「尖った武器」と話すのは、昨季の大学選手権決勝を受けての言葉だ。
大田尾監督が悔やむ“最後の20分間”
決勝で早稲田は20対73で完敗した。帝京の容赦ないアタックに、早稲田の選手は戦意を喪失してしまったかに見えた。試合後の会見で、「この差をどう縮めていくか?」という質問に対して、「アタックに極端に特化するか、ディフェンスに特化するとか、そうしたことが必要になってくると思います」と話していた。
バランスよりも、先鋭的なものを。それが今季の早稲田が追究していくものだという。
そしてもうひとつ、大田尾監督は学生に対しての申し訳なさを感じていた。
「決勝という舞台で、最後の20分間、選手たちにつらい思いをさせてしまったので……」
それは自分自身の経験に照らし合わせたものだ。