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「捨てられたのではない。選ばれたのだ」WBC人気継続中のプロ野球で、一際輝く“現役ドラフト”選手たち
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byJIJI PRESS
posted2023/05/01 06:00
巨人の1番打者に定着したオコエ(左)と、3割を超える打率で活躍する中日の細川。ともに現役ドラフトで新天地に移籍した選手だ
そして、
《これまでも新天地で新しい自分を見つけて新・涌井を構築した実績が、仙台での4年目よりも、名古屋での1年目を選ばせた。》
ドラゴンズに帰ってこない人もいたが、来ることを選んだ人もいたのだ。さらにこの日の試合の経過をみると《3回に細川成也外野手の適時打とルーキー福永裕基内野手のプロ初適時打で2点を先制》とある。こちらも新しく来た人たちではないか。
崖っぷち男たちの躍動
注目したいのは細川成也選手の活躍を生んでいる現役ドラフトだ。
『現役ドラフトは大成功…中日・細川「試合に出られる喜び感じている」今季16安打で自己最多に15試合で並ぶ』(渋谷真コラム「龍の背に乗って」4月24日)
《つくづく思う。彼を選んで大正解だった。そして現役ドラフトは大成功だった。》とコラムは書いた上で、他球団の現役ドラフト1期生の活躍ぶりも伝えている。
《失礼を承知で言うと、指名された12人は崖っぷちに立っていた男たちである。だからこそ、恐れずに前へと進む。阪神・大竹(前ソフトバンク)は強力投手陣に割って入り、すでに2勝した。巨人・オコエ(前楽天)は巨人の1番に座り、2本塁打を放っている。そして細川。捨てられたのではない。選ばれたのだ。》
捨てられたのではない。選ばれたのだ。いい言葉だなぁ。
現役ドラフトとは出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化する制度のことで《日本野球機構(NPB)とプロ野球選手会の数年にわたる話し合いの末、今オフからの導入が決まった。各球団、必ず1人は出て、1人は入る仕組み。》(日刊スポーツ2022年12月9日)
WBCからスター選手が「帰ってくる」も活性化だが、出場機会に恵まれなかった選手たちが環境が変わったことで活躍するのもペナントレースの活性化になっている。本来の実力が「帰ってきた」という見方でも良いのかもしれません。
以上、4月のスポーツ新聞時評でした。