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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「お前を地獄に引きずり降ろしてやる」ジュリアvs中野たむにロッシー小川が見出した“狂気”「30年前の北斗vs神取とは少し違うけど…」
posted2023/04/22 11:06
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
朱里vs橋本千紘は「団体の威信をかけた対決」に
4月23日の横浜アリーナ大会は注目カードが目白押しだ。朱里vs橋本千紘のシングルマッチは、あの北斗晶vs神取忍を想起させる部分もあるが、ロッシー小川はこう解説する。
「殺気とか狂気的とか、そういうのではないでしょうね。今回は強さを競う試合。タイトルマッチじゃないけれど、橋本は仙女(センダイガールズプロレスリング)のトップですから。朱里が赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)を落として、次に何に向かうかという時に、橋本が最適かな、と思ったんです」
朱里vs橋本は「団体の威信をかけた対決」でもある。
「仙女は橋本1強ですから、負けたら失うものがある。プロレスは観客ありきのもの。強いと言ったところで、客が入っていなかったら意味がない。人を集めて見せるのがプロレスだから、そこで強さを競う。いろんなものを兼ね備えていなければ強さじゃない。この2人にしても、勝ったから最強かというとそうじゃない。彼女たちには格闘技のバックボーンがある。それも踏まえて、KOかギブアップかレフェリーストップの完全決着ルールになった。うやむやなところもプロレスですが、はっきりしてもらいたいというのもプロレスです」
朱里は強さというテーマを求めて、橋本に照準を合わせた。そして記者会見では橋本不在のまま、絶叫した。
強さを求める姿勢はどちらも変わらないのだろうが、筆者の目に映る朱里の中には、悲壮感や狂気のようなものが見え隠れしている。そういった部分が試合中に顔を出したとき、この試合は小川が思い描いているものとは違った何かを見せてくれるのではないか、と勝手に期待している。