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アメリカの“野球離れ”に異変…WBC効果でメジャー視聴者数10%増、4月なのに球場の熱気が…米記者「日本対メキシコの準決勝で考えが変わった」 

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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posted2023/04/22 11:00

アメリカの“野球離れ”に異変…WBC効果でメジャー視聴者数10%増、4月なのに球場の熱気が…米記者「日本対メキシコの準決勝で考えが変わった」<Number Web> photograph by Getty Images

4月11日のカブスvsマリナーズ戦。ベラスケスの満塁弾で球場の熱気は最高潮に…背景にWBC効果があった?

MLBの視聴者数「10%増」

 WBCの盛り上がりの余波で、MLB人気も高まっている。米スポーツビジネスニュースサイト「フロントオフィス・スポーツ」によると、米FOXスポーツが放送した開幕戦2試合は平均視聴者数220万人を記録し、昨季より10%増。米スポーツ専門局ESPNの開幕週の試合中継は平均視聴者数が前年比11%増の160万人だった。またMLB公式サイトの試合配信では、開幕日の総視聴時間が1億7200万分を記録し、これは前年比42%増の大幅アップだった。

 視聴数好調は、投球時間を制限する新ルール「ピッチクロック」の導入で試合時間が短くなった影響と指摘する米メディアも多いが、SNSでは「WBCはピッチクロックなしで人の心をつかんでいた」「ピッチクロックは関係ない」というファンの声が上がっており、ベイエリアのFMスポーツラジオ局「ザ・ゲーム」などでパーソナリティを務めるアレン・スタイルズ氏は「WBCの成功とシーズン開幕で、MLBの盛り上がり感がすごい」と投稿している。

「4月の野球」なのに…異様な熱気

 WBCに参戦した選手たちも、開幕早々のMLBの盛り上がりを肌で感じている。米国で4月といえばまだ寒い日が続き、観客の入りも鈍い。興奮するような盛り上がりを感じることもあまりない。

 しかし、例えば4月11日にシカゴのリグリーフィールドでカブスがマリナーズから劇的逆転勝利をおさめた試合の盛り上がりは、ちょっと違った。カブスは試合序盤で投手陣が崩れ、2回表を終えた時点で0-7と大量リードされていたが、その裏に1点を返し、3回裏には一挙8点を追加して大逆転。ヒーローとなったのは、自身メジャー初の逆転満塁弾を放ったメジャー2年目のネルソン・ベラスケス外野手だった。打った瞬間に満員のスタンドから歓声が上がる完璧な当たり。ファン全員が立ち上がってジャンプや拍手をしながら歓喜に沸き、口笛が鳴り響き、球場全体が揺れた。

 WBCではプエルトリコ代表として準々決勝までしびれる試合を戦い続けたベラスケスは、この試合後にこう語った。

【次ページ】 「WBCの発展は約束されている」

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