令和の野球探訪BACK NUMBER
元ぽっちゃり少年が劇的変身&投手歴1年の右腕にスカウト集結…甲子園出場ゼロの公立校からなぜ隠れた逸材が?「入学前は想像もできなかった」
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2023/04/20 17:00
多くのスカウトが注目する幕張総合の早坂響(左)と高校通算30本を誇る安中総合の梅山大夢(右)。共に「プロ入り」を口にできるほど、急成長を遂げている
1996年に3校の統合により設立された幕張総合は、学力が高く、広いグラウンドを有することもあって文武両道に適した高校として人気が高い。だが、野球部は県16強が過去最高成績で甲子園出場はまだ一度もない。それでも2021年には、高校2年頃までまったくの無名だった大型捕手・村山亮介がロッテの育成ドラフト4位指名を受け、同校初のプロ野球選手を誕生させた。そこからわずか2年で再びプロ注目の選手が育った背景には何があるのか。
大きく影響しているのは、柳田大輔監督の「外部に頼る」という指導方針だ。
前述した村山は、明秀日立・金沢成奉監督のもとへの出稽古をきっかけに打撃が開花した。かつて高校時代の坂本勇人(巨人)や細川成也(中日)を指導した名将の助言によってプロへの道が開いたと言っても過言ではない。
一方の早坂は、投手を中心にプロアマ多くの選手がパーソナルレッスンに通う北川雄介トレーナーのもとで大きな成長を遂げてきた。村山のスローイング指導を行っていた北川を信頼する柳田監督は「早坂はフェラーリみたいなエンジンを積んでいる。素人がいじっても事故になるだけ」と指導を一任した。
「夏までには155キロを出したい」
投手を始めていきなり140キロを計測した恵まれた馬力に加え、北川の指導、さらに冬場のジム通いによって筋力が大幅に向上。今や150キロに迫る球速のストレートを手にしている。
「(北川トレーナーには)腕に力を入れて振るのではなく、胸郭を動かして腕が自然と振られるような意識で投げることやボールの握りを教えてもらいました」
成長を実感する早坂の目標はさらに高く、「夏までに155キロを出して、プロに行きたいです」と意気込んでいる。