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先発・千賀滉大は5回に急きょブルペンへ…3連勝を阻んだ“メジャーの洗礼”、ニコリともせず口にした「こういう失敗をしないように…」 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2023/04/20 11:01

先発・千賀滉大は5回に急きょブルペンへ…3連勝を阻んだ“メジャーの洗礼”、ニコリともせず口にした「こういう失敗をしないように…」<Number Web> photograph by Getty Images

4月14日、あと1アウトで降板しデビューから「3連勝」とはならなかった千賀。その言葉と表情からは揺るがぬ覚悟が感じ取れた

 初対戦で「お化けフォーク」が脚光を浴び、三振を奪うたびに、大型スクリーンに「お化け」のイラストが浮かび上がるのをよそに、配球バランスを絶妙にアレンジした。速球を前回の36%から44%に増やし、フォークは30%から18%へ。ボールが先行したカウントでは、スライダーやカットボールを駆使し、相手打線のデータを覆した。

「何回もやれば、フォークを振らないようになる。幅広くやって、今後も対策していく」

名将も「彼は多くの武器を持っている」と絶賛

 伝家の宝刀「お化けフォーク」も、高低左右に投げ分け、見逃せないように工夫を凝らした。結果は、6回1失点6奪三振で2勝目。名将バック・ショーウォルター監督を、「彼は多くの武器を持っている」とうならせる、新人離れした投球術だった。

 それだけに、メジャーで先発陣の一角を任された千賀の意識は、登板を重ねるたびに、より高まっていた。大勝パターンでありながら、勝利投手の権利を得る前に降板した3戦目は、反省を収穫に変えざるを得ない、悔いが残る登板となった。3時間の時差がある西海岸へ移動し、しかも調整ペースが難しい3連戦の初戦。戸惑いだらけの条件だったとはいえ、プロである以上、言い訳にするつもりはない。

こういうことを経験して、乗り越えていきながら…

「時差もありましたし、初めてのことだったので体がうまくコントロールできてない部分もあったかと思いましたけど、とにかくこういうことを経験して、乗り越えていきながら、この世界でしっかりやっていけるように準備していきたいなと思いました」

 メジャーのロースターにいれば、短期間であれば、好投や快打で脚光を浴びる選手は少なくない。ただ、高いレベルで安定した成績を長年残し続ける選手は、さほど多くはない。

 この世界でしっかりやっていけるように――。

 デビュー以来2連勝した一方で、白星を逃した3試合目。

 ニコリとも笑わなかった千賀の表情に、あらためてメジャーへ挑む覚悟がうかがえた。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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