滝澤も昨シーズンをこう振り返る。

「体の疲れというのはあまり感じなかったんですが、緊張で疲れるという経験はありました。一番は、試合を見ている人の視線ですかね。あれだけ多くの人に見られる機会が少なかったので、その中でプレーする緊張感は常にありました。そのプレッシャーは、プレーには影響がなかったと思っていますが、とにかく技術的な部分で、全然一軍レベルじゃないというのは痛感していました」

“名手・源田”のプレーだけじゃない凄さ

　滝澤が何より驚いたのは名手・源田の視野の広さだった。

　マウンドの投手を孤立させない。一軍に上がりたての後輩に気を配る。そんな源田の姿を近くで見て、ますます憧れが強くなったと話す。

「じっくりお話をする機会はなかったんですけど、声はよくかけてくださいました。僕がけん制で刺されて、落ち込んで下を向いているときにも、真っ先に声をかけてくれて……。何よりベンチから見る源田さんの守備は、一つひとつのプレーが正確で、丁寧。自分とは全く違いました。守備だけではなくバッティングも走塁も全て、自分と比べたら段違い。改めて僕は一軍レベルじゃないんだなと感じました。その経験があったので、『全てのプレーでレベルアップしないといけない』と強く思うようになったんです」

本塁に生還してベンチに戻った際、源田に頭ポンポンされる滝澤（2022年）©︎Sankei Shimbun

　自信を持ってグラウンドに立ち、プレーできなければ周囲を気遣う余裕も生まれない。まずは徹底的に自分の技を磨くことを滝澤は決意している。

「今は源田さんの名前を出すのはおこがましい、目標だと名前を挙げられるレベルにも達していないけれど、将来的には源田さんのような選手になりたいです」

【次ページ】　身長164cm「不利だとは思っていない」