2022年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
「おい、なんで吉本はタクシーなんだ?」「俺なんか電車だよ!」男性ブランコが明かす、M-1直前ウエストランド井口さんにさんざんカラまれた話
posted2023/04/18 11:14
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Shigeki Yamamoto
そのウエストランドにファーストラウンド、最後の最後に抜かされた男性ブランコのインタビュー。「音符運び」のネタで強烈な印象を残した2人が語る“M-1のウラ側”。【全3回の1回目/#2、#3へ】
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「もう、絶望しましたね」M-1、4カ月前のショック
――M-1とキングオブコント、両方のファイナリストになったのは男性ブランコで史上13組目です。前大会、ロングコートダディは12組目の達成者になったのですが、M-1ファイナリストになったとき「怖さ」を感じたと話していました。漫才は彼らの本職ではないことと、M-1の歴史の重さがそう言わせていたようです。ロングコートダディ同様、コントをメインでやってきた2人の場合はどうでしたか。
浦井 僕らはキングオブコントは(決勝に)出ないといけないと思っていた。一方、M-1はまさか出られるなんて、っていう。なので、純粋に嬉しいっていう気持ちが強かったですね。あとは、ちょっと救われた。
平井 2022年はキングオブコントの準々決勝で負けたことが本当に悔しくて。前年、初めて決勝に進んで2位だったので、次は絶対に優勝候補って言われるじゃないですか。だから、ここで優勝しないとチャンスがなくなるかもしれないと思って、めちゃくちゃがんばったんです。
浦井 2月から7月まで毎月、ライブのたびに新ネタを6本ずつ作って。
――半年で36本ですか? これまでそんなに作ったことあるんですか。
平井 ないです、ないです。
浦井 それで8月5日に、その中から選りすぐりのネタを集めてベストコントライブもやったんです。
――そして、8月16日のキングオブコント準々決勝を迎えたわけですね。
浦井 あの日、僕ら大トリだったんです。でも、正直、そんなに……という感じやった。あれ、ひょっとしたらひょっとするかもしれないぞみたいな感じで、結果発表までの3日間は何も頭に入ってこなくて。結果を見たときは、あ、落ちてる、と。もう、絶望しましたね。なんでこんなことになるねん、と。
平井 あれはほんまにショックでした。
浦井 その年の大目標が早々に潰えて、やることがなくなってしまった。どうしよう……となったときに、気持ちの持っていきどころがM-1しかなかった。
平井 今になると、キングオブコントで負けたことで、全部のエネルギーをM-1に注げたんじゃないかなと思いますけど。
「ト音記号で死ぬ」幻のパターンもあった
――決勝で披露した「音符運び」のネタは、そのとき、もうできていたのですか。
平井 原型はありましたけど、M-1でやろうみたいな感じではなかった。
浦井 まだぜんぜんやる候補ではなかったですね。