2022年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
「おい、なんで吉本はタクシーなんだ?」「俺なんか電車だよ!」男性ブランコが明かす、M-1直前ウエストランド井口さんにさんざんカラまれた話
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/04/18 11:14
結成11年で初のM-1決勝だった男性ブランコ。浦井のりひろ(ツッコミ担当、写真左)と平井まさあき(ボケ担当)
――2022年は漫才ネタもつくっていたのですか。
浦井 ゆにばーすとふた月に一度、ライブを開催していて、そこで互いに3本ずつ新ネタをやっていました。
――M-1の3回戦は「ママ友」のネタでしたよね。あれも最高でした。
浦井 あの頃には「音符運び」も形になりつつあって、どっちをやろうか悩んでいたんです。
平井 3回戦は配信があるので、そこで使ったネタは準々決勝以降はやりにくい。
浦井 僕は「ママ友」の方が主力になると思っていたんですよ。準々、準決は「ママ友」でいった方がいいんじゃないか、と。でも、平井の考えは、まったく逆で。「音符運び」は印象に残りやすいから取っておきたいと言うので、3回戦は温存したんです。
――「音符運び」は下ろしたときからスベリ知らずみたいなネタだったのですか。
平井 いや、お笑い好きな人が来るライブはいいんですけど、ちょっと年配の方とか、普段そんなにお笑いを見ないという人には「ん?」となる場合もありました。
浦井 どうしても最初のインパクトが強いので、そこからどうやって落とさずに走り切るかというのをずっと考えていましたね。
平井 初っ端でピークを迎えてしまうんです。
――8分音符を運ぶというくだりですよね。音符のはた(ヒゲ)の部分が鎌になっていて、音符運びの平井さんがバランスを崩したところで、浦井さんを殺めてしまうという……。
浦井 あそこからいかに落とさないか。
平井 けっこう試行錯誤したんです。ただ、名前を言って、パッと映像が浮かぶ音楽記号ってそんなにないんですよね。
――八分音符、八分音符が2つ並んでいるもの、五線譜、フォルテシモと、全部で4つの記号を運んでいましたが、あれは選りすぐりの4つだったわけですか。
浦井 ベスト4ですね。
平井 じつはト音記号とかもあったんです。ト音記号が形状記憶合金みたいになっていて、ビヨーンと伸ばして……。
浦井 戻るときに僕が巻き込まれて死ぬというのもけっこうやっていました。
「おい、なんで吉本はタクシーなんだ?」「俺なんか電車だよ」
――決勝当日はよしもと∞(無限大)ホールから、直接、テレビ朝日に入ったのですか。