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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「飯倉チャレンジ」は知っていても、飯倉大樹は知らない? 無謀と批判されても、GK飯倉はなぜ”攻撃参加”し続けるのか?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/04/08 11:05
3年半ぶりに古巣の横浜F・マリノスに復帰したGK飯倉大樹(36歳)。自らのプレースタイルの代名詞にもなっている”飯倉チャレンジ”について語った
”飯倉チャレンジ”はネタにしてもらって構わない。でも…
「“飯倉チャレンジ”っていう言葉を知っていれば、GKだってドリブルしていいんだ、攻撃にもっと絡んでいいんだってなるじゃないですか。そもそもサッカーをやっていてもGKをやりたい子って少ない。なんかGKも面白そうってやってくれたら、少しでもパイを広げていけることができると思うんです。俺がドリブルして失敗したら、そのときは笑われようとも、修正してうまくいったら次のステップに進むことができるし、そうなったらGKの可能性が広がる。人って、成功と失敗の2つあるわけじゃないですか。でもチャレンジしないと失敗もないし、成功もない。そもそも成長していかないと思うんです。
俺の“飯倉チャレンジ”はネタにしてもらって構わない。でもJリーグのほかのGKや子どもたちのチャレンジは周りの人も温かく見守ってほしいっていうのが本音としてはあります。F・マリノスにいるウチのGKもそうだけど、Jリーグでも能力の高い20代のGKっていっぱいいる。普通にやってもそこそこはやれると思う。せっかく能力があるんだから、もっとチャレンジしてもらいたい。どうしても負けたくない、失敗したくないという思いが強くなるとチャレンジしなくなってしまうから。GKのチャレンジ自体をサポートできる環境にもっとなっていけば日本サッカーも変わってくるんじゃないかって勝手に思ったりもしています」
「飯倉チャレンジ」はその事象にとどまらず、飯倉自身はマインドや人生観にも落とし込んできた。だからこそ価値そのものを高めていった。いっぱい失敗してきたからこそ、プレー的にも人間的にもいっぱい成長できたという自負がある。
ミスしたっていいじゃない。笑われたっていいじゃない。それは自分にとって成長の肥やしとなるわけだから。
後輩たちに背中でそう語るように、飯倉大樹はきょうも、今この瞬間も、チャレンジを忘れない。
<前編から読む>
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