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「1年延期は競技的にプラスだったのかも」寺村美穂28歳が回想…“98%あきらめた”東京五輪での引退「自分、お疲れさま!って」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJIJI PRESS
posted2023/04/09 11:04
寺村美穂さんは東京五輪の現役ラストレースを終えた後、万感の表情だった
プールが減っていくということに悲しさが
――水泳の魅力を伝えたいということで、少し気になるニュースを目にしたことがあります。小・中学校などのプールが維持費などの問題でなくなってきているというものです。
「水泳は基本的に個人競技なんですけど、泳ぐことでコーチや同じ日本代表の選手たち、もっと言えば子供の頃から接してきた数多くの人とコミュニケーションを取ってきました。それだけにプールが減っていくことが悲しいですし、プールの中で泳ぐという楽しさはぜひ残ってほしいと思います。ただその一方で、プールがなくても水泳という競技の魅力を知ってもらえるように頑張れればと思っています。例えば泳ぐ時の身体の使い方などは、水がない環境でも実践ができるのかな? と考えています」
――水泳を始めるきっかけづくりは大切ですからね。
「それとともに最初の話題に戻りますが……私自身、早くからケガを経験したことで、伝えられることもあるのかなと思っています。小中学生頃にケガをすると、身体についての知識がまだ足りないでしょうし、ネガティブな気持ちになってしまうかと思います。たとえば水泳前の補強トレーニングをしっかりとすることで、身体の安定性を整えられるし、重要性を教えていけるのかなと。自分自身はその重要性を分からず泳いでいたのを文字通り痛感するので(笑)、そういった活動を進めていければと考えています」
◇ ◇ ◇
インタビュー取材後、寺村さんは「基本は蹴伸びが大事なんです!」とにこやかな表情を浮かべつつ、平泳ぎ、背泳ぎの泳ぎ方を熱心にレッスンしてくれた。競泳人生で得た経験値を、次世代に引き継いでいきたい――そんな強い眼差しを感じさせる寺村さんの言葉と立ち振る舞いだった。
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