「きのうの東海大菅生の試合をビデオで見て、サードのチャージが弱いと感じました。自分は足があるので、サードの前に転がせばセーフになると考えていました」

　一、二塁と好機が広がり、続く3番・徳丸快晴も初球をサードへバント。バウンドした打球はコロコロと転がり、くっきりと描かれた白いラインの内側で止まった。あの日、泥で止まった打球とは違う。狙い通りに、打球を止めた。徳丸選手は「思った通りの方向へバントできました。バントのサインが出ると思っていましたし、日頃からチームとしてバントの練習をしっかりやっています」と納得の表情で振り返った。

大阪桐蔭が日課としているバント練習

　大阪桐蔭のレギュラー陣はバント練習を日課としている。シーズンオフの期間は全体練習開始の40分ほど前に、3カ所に分かれてマシン相手にバントを繰り返す。年が明けてからは全体練習後にバントの時間をつくってきたという。強打のイメージが強い大阪桐蔭だが、西谷監督は今年のチームに限らず「うちのチームは打順に関係なくバントのサインを出します」と話している。

大阪桐蔭の練習　©Hideki Sugiyama

　四球と連続バントヒットでノーアウト満塁とした大阪桐蔭は、4番・南川幸輝選手のライト前ヒットで2点を先制した。外角低めのフォークをバットで拾い、しぶとく一、二塁間をゴロで破った。さらに、5番・佐藤夢樹選手がキャッチャー前に送りバントをすると、フィルダースチョイスを誘って再び満塁。その後、犠牲フライと叩きつけて一、二塁間を破るタイムリーヒットで計4点を奪った。

　大阪桐蔭は6回にもノーアウト二塁から送りバントでランナーを三塁に進め、ボテボテの内野安打で1点を加えている。この試合に記録した10本のヒットのうち、バットの芯で捉えたヒットは佐藤選手のソロを含めて3本しかなかった。それでも、確実性の高いバントや隙のない走塁で6点を重ねた。バントは内野安打を含めて、4回ともミスなく全て1球で決めた。

　6点の援護は、エース前田悠伍投手にとって十分だった。能代松陽戦はピンチの場面でマウンドに上がり、1回2/3を1安打、無失点に抑えた。だが、「万全ではない中、結果的に抑えられて良かったです」と不満が残る内容だった。

「自分がマウンドに立った試合は最後まで」

　上半身に張りがあり、ビデオでフォームを確認しても上半身が前に突っ込んでいたことから、下半身主導の投げ方に修正。たった1日で、試合後の表情も言葉も一変した。

「三振を取りにいくところや、力を入れるべき場面で上手く投げられました。無駄な力が入っていた部分は修正できたと思います」

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