大阪桐蔭は1回からベンチスタートの南恒誠投手がブルペンに入り、その後も3人の投手が肩をつくっていた。しかし、前田投手は4回に犠牲フライで失った1点のみで、9回を投げ切った。

「後ろに投手はいますが、自分がマウンドに立った試合は最後まで投げるつもりでいます」

前田のピッチング　©JIJI PRESS

「きょうは受け身にならず、強気の投球を」

　無四球で毎回の11奪三振。圧巻だったのは、5回の投球だ。4回に1点を奪われた大阪桐蔭は、その裏の攻撃が初めて三者凡退に終わった。東海大菅生に漂う反撃ムードを前田投手が断ち切った。先頭打者をチェンジアップで空振り三振に斬る。続いて打席に入ったのは、途中からマウンドに立った東海大菅生のエース日當直喜投手。3球目のカーブで1ボール2ストライクと追い込み、最後は外角へ147キロの直球で空振り三振。続く打者からも空振り三振を奪った。

「カーブを投げた時に日當選手の視線を感じたので、最後は直球を投げました。きょうは受け身にならず、強気の投球を特に意識しました」

　手堅い攻撃とエースの好投で、大阪桐蔭は雪辱を期す東海大菅生に再び勝利した。2021年の夏、両チームとも空白だった9回のスコアボードには表が「0」、裏には「X」と表示された。

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