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「負けてもムラカミを尊敬だ」「オータニ、イチローも知ってるよ」WBC各国ファンが“侍ジャパンLOVE”「キューバ人は“W杯日本代表ユニ”を…」 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byHiroaki Sawada

posted2023/03/26 11:04

「負けてもムラカミを尊敬だ」「オータニ、イチローも知ってるよ」WBC各国ファンが“侍ジャパンLOVE”「キューバ人は“W杯日本代表ユニ”を…」<Number Web> photograph by Hiroaki Sawada

マイアミ空港で出会ったメキシコの野球ファン。日本代表の帽子を被っている彼が“ムラカミ推し”な理由は?

「日本の文化が昔から好きだったし、フットボールでも野球でも献身的なプレーをする。守備が良く、スピードがあり、プレーがスマート。チームとしてのまとまりも素晴らしい。今日はアメリカを倒してぜひとも優勝してほしい」

「なぜ住んでいるアメリカを応援しないのか」と聞くと……。

「アメリカは、悪い国じゃない。マイアミにはキューバ人の大きなコミュニティがあり、互いに助け合っている。キューバと比べると物価は高いけど、まあまあ住みやすい。でも、アメリカ人の中には我々ヒスパニックを少し低く見る人もいる」

 試合が始まり、日本は先発の今永昇太が2回表に先制を許す。しかし、村上のホームランなどですぐに逆転。4回には岡本の一発で突き放す。投手陣も小刻みなリレーで奮闘していたが、8回にダルビッシュが特大のホームランを浴びて1点差に詰め寄られた。

 9回、日本は大谷がクローザーとして登場。場内が大きくどよめいた。先頭打者を四球で出したが、次の打者を内野ゴロに打ち取って併殺。そして、エンゼルスの同僚トラウトを三振に斬って取り、14年ぶり3度目の優勝を遂げた。

 前の席のキューバ人の若者が振り返り、「やったな! 素晴らしい試合だった!」と満面の笑みと握手で祝福してくれた。

メキシコの若者が「ムラカミ推し」だったワケ

 22日午前、自宅のあるブラジル・サンパウロへ戻るためマイアミ国際空港へ。

 搭乗口に近い通路で、「J」のマーク入りの帽子を被っている若者と出くわした。メキシコ人だそうで、「WBCを観るため、メキシコシティーから来ていた。準決勝と決勝を観て、帰国するところ」と言う。

 日本の帽子を被っている理由を尋ねたところ、「日本は大好きな国なんだ。昨夜の決勝も、日本を応援していた」。侍ジャパンで好きな選手を尋ねたら、「ムラカミ」と言う。これには驚いた。「準決勝で最後にヒットを打ってメキシコを打ち負かした選手だけど」と重ねて聞いたところ、こう力説していた。

「彼はこの大会でずっと不振で、ひどく苦しんでいたよね。でも、最後の最後に素晴らしいバッティングをした。選手として、また人間として尊敬できる。それに、若くてハンサムだしね……」

イチロー、マツザカ、マツイ、ショーヘイ・オータニ…

 彼以外にも、野球ファンらしき中年男性がいた。

 話しかけたところ、「ドミニカ人だ。3月中旬に来て、1次ラウンドから決勝まで10試合ほど観た」これまでにもMLBの試合を観戦するため度々、アメリカ各地へ来ているそうで、筋金入りの野球ファンだった。

「MLBで活躍した日本人選手も、大勢観ているよ。イチロー、ヒデキ・マツイ、ダイスケ・マツザカ、コージ・ウエハラ、ケンタ・マエダ、ショーヘイ・オータニ、セイヤ・スズキ……」

 全部、フルネームで知っていた。複数の会社を経営しているそうで、かなりのお金持ちらしい。日本の野球の印象を聞くと、以下の通り。

【次ページ】 各国のファンも日本野球を楽しんでいた

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