熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「負けてもムラカミを尊敬だ」「オータニ、イチローも知ってるよ」WBC各国ファンが“侍ジャパンLOVE”「キューバ人は“W杯日本代表ユニ”を…」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2023/03/26 11:04
マイアミ空港で出会ったメキシコの野球ファン。日本代表の帽子を被っている彼が“ムラカミ推し”な理由は?
試合前、隣のメキシコ人ファンに侍ジャパンの印象を聞くと、「個々の選手の技術が高いし、守備力が優れていて隙がない。難しい試合になる」と警戒していた。
試合は佐々木朗希、サンドバル(エンゼルス)の両先発が好投を見せる中、4回表にルイス・ウリアス(ブリュワーズ)の3ランホームランでメキシコが先制。メキシコ人のファンが狂喜し、「メヒコ、メヒコ」のコールが続く。
日本は7回裏、吉田正尚の技ありの3ランホームランで同点にしたものの、その直後に2点取られて流れが来ない。その裏、日本は山川穂高の犠牲フライで1点差とする。そして最終回、先頭の大谷翔平が二塁打。吉田が四球で続き、それまで4打数3三振だった村上宗隆が快打。大谷に続いて代走・周東佑京が還り、日本が大逆転勝ちを収めた。
準決勝後、メキシコ人が「おめでとう」と…
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試合後、隣のメキシコ人が「おめでとう」と祝福してくれた。
日本にとっては奇跡的な勝ち方だったが、メキシコにとってはまさかの大逆転負け。それでも、悔しさを押し殺して勝者を称えてくれたのだ。「日本をどう思った?」と聞くと、以下のような返答が。
「ササキ(佐々木朗希)の速球は素晴らしかったし、彼の次に投げたヤマモト(山本由伸)はコントロールが良かった。打者では、大谷はもちろんだが、ヨシダ、ムラカミ、オカモト(岡本和真)らも技術とパワーがある。守備も非常に洗練されていたし、(8回裏の源田壮亮の)スリーバントには驚いた」
「パワー一辺倒ではなく、頭を使ってプレーするのが素晴らしい。我々メキシコ人も、こういう緻密なスタイルが大好きなんだ」
そして、「明日の決勝では、ぜひアメリカに勝ってくれ」と激励してくれた。スタジアムの通路でも、数人のメキシコ人ファンから握手を求められた。劇的な勝利に酔い痴れながらも、メキシコ人たちのやさしさ、潔さに感銘を受けた。
キューバ人がなぜ“W杯日本代表ユニ”を着用?
そして、21日、決勝のアメリカ対日本戦を迎えた。
僕のすぐ前の席に、背中に日の丸が付いたシャツを着ている人がいた。よく見ると、カタールW杯でのフットボール日本代表のユニフォーム。話しかけたら、「アメリカへ移住してきて3年になる」と言うキューバ人の若者だった。
「キューバは、共産党政権の独裁なんだ。経済が滅茶苦茶で、物不足が深刻。未来がない。マイアミに親戚が住んでいるので、彼らを頼って移住してきた」
「どうしてそのユニフォームを着ているの?」と聞くと、「僕は日本が好きなんだ。昨年のワールドカップでも、日本を応援していた。野球のユニフォームを持っていないので、今日はこれで代用している」と笑う。
日本を応援してくれる理由を聞くと、このように返ってきた。