2022年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
「松本人志さんのあの“ひと言”が一番嬉しかった」“M-1歴代2位”さや香が語る、667点が出たときのゾクゾク感「決勝前はマジ嫌やったんで…」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/03/19 17:01
結成8年で2回目のM-1決勝だったさや香。石井(ボケ担当、写真右)と新山(ツッコミ・ネタ作り担当)
石井 ほんま、そうなんですよね。点数が出るまでは、どうなんねやろ、と。
――結果、合計667点でした(※新生M-1、審査員7名時で2019年ミルクボーイに次ぐ歴代2位)。それにしてもすごい点数ですよね。これは1位に立ったな、というのはすぐにわかりましたか。
新山 なんとなくですけど、1位っぽいなと。ただ5番手での1位なので、抜かれる可能性はぜんぜんありますから。順位よりも、審査員の方々のコメントの方が嬉しかったですね。礼二さんは「掛け合いの、ほんまに素晴らしい漫才」とおっしゃってくれて。
――松本さんは、ツッコミが、これを言って欲しいというときに丁度いいボリュームで全部言ってくれて気持ちよかった、と。
新山 ツッコミになってから、いちばん嬉しい言葉だったかもしれないですね。
――大吉さんは「とんでもない漫才を見た」とまでコメントしていましたよね。後日、ラジオで総括をしていましたが、2017年、初出場したときも大吉さんは審査員をしていて、そのときからの成長ぶりに驚いているようでした。やすきよ(横山やすし・西川きよし)を超えたと大絶賛してましたね。
新山 ネタの直後に言われたときは、ほんまかいな、と思ってました。流れで、ただ言ってしまったのかな、と。大吉さんは5年前もラジオで総括していたと思うんですけど、そのときは結構、厳しい意見をもらったんですよね。もっと、オリジナリティーが欲しい、というようなニュアンスの言葉だったと思うんですけど。なので、大吉さんの点数(96点)が高かったのは嬉しかったですね。
――やすきよもツッコミ役とボケ役の境界線が曖昧というか、自由に漫才をしていた印象がありますが、意識したことはあるのですか。
新山 ツッコミとボケを入れ替えるとき、最初に意識したのは中川家さんでしたね。ただ、仲のいい作家さんにいろいろ教えてもらってたんですけど、そのときLINEのやりとりで、やすきよ師匠の名前はよく出てきてたんです。やすきよさんはこうやってたで、みたいな。だから、僕も何となくやすきよを目指してとかじゃないですけど、ほんまにぼやっと、イメージの中にはありましたね。
<続く>
(写真=杉山秀樹)